ここ数日のうちに、昔馴染みの別の友人たちから、それぞれ別件で、メールやら電話やらが 立て続けに入った。 高校時代の友人と、養成所時代の友人との世間話が計2件、友人本人の結婚のことが1件・・・・ あと、お約束で、この日曜の選挙で「某党」の応援を・・・・というのが1件(苦笑)。 そして、その中で、最も度肝を抜く、超ド級の報告が、自衛隊に勤務するリエからあった。
「ちょっと仕事で、硫黄島に行ってくるわ♪」
い・・・・いおうじま・・・・?? 南国風味な響きで、その場所がかなり本州から離れたところにあることまでは予測がついたのだけど、 はてさて、実質どのへんにあるのか、世界地理は勿論、日本地理にも相当弱いアサミンジャー。 「硫黄島」ってことは、一応、日本よね?? 漢字だし(爆)。 あぅ。でも、漢字だからといって、韓国とか中国という可能性もゼロではないのか。 うむ・・・・どこだ?? 硫黄島って( ̄∇ ̄;) ・・・・という、かれこれかなり漠然とした疑問で、マヌケかとは思ったが、相手が彼女なので、 むちゃくちゃ素直に質問してみることにする。
「ねぇ・・・・硫黄島ってどのへん??」
「あぁ。あのね、父島とグアムの間らへん。」
「(爆)つまるところ、ギリギリ日本?」
「そういうことになるかも。東京都なんだって〜♪ 笑っちゃうよね〜(笑)。」
笑う前に、その島が東京都であることに素直な驚きを隠しきれないんですが。 そんなリエの特務の詳細についてはここにはちと書けないんだけど、 とにかく、「東京都」とはいえ、もはや異国に違いないその孤島に俄然興味がわいてきたあたくし。 その電話をしてから、早速、世界地図を広げて、硫黄島が大体どのへんにあるのかというのを 確認してみることに。
おぉ・・・・。確かに彼女の言う通り、位置的には父島とグアムの間。父島寄りではあるが。 つか、こんなに南で、まだ日本なのか。沖ノ鳥島のほんの手前じゃん。
高校を卒業して、すぐに自衛隊に入隊して以来、10数年。 彼女から聞く話は、いつも刺激的で、とても面白い。 うちらには体験できないようなことばかりが話題に上るので、聞いていて飽きないのだ。
で、だ。 その島に飛ぶのが確か、今週頭だったはずで、帰ってくるのが半ば。 その間、列島は、とんでもない台風に見舞われて、大変だったはずなのだ。 それでも任務を遂行すべく、飛んだんかいな? と、少々心配になり、彼女にメールを送っておいたのが、 返事として返って来た。 やっぱり、離陸予定時間はかなり押したらしいのだけど、無事に行って帰ってきたらしい。
彼女の硫黄島ルポは、やはりと言おうか、まるで異国の話を聞いているかのようで、 ある意味、新鮮だった。 太平洋戦争の爪痕が、未だ色濃く残っているらしいその島に、今、民間人は誰も住んでいない。 自衛隊の人間か、米軍の人間しかいないんだそうだ。そして、女性も常駐していないらしい。 数々の痕跡を目にした彼女の言わんとすべきところは、メールを一読しただけで凡そわかったが、 ホントに、彼女のような仕事をしている人間しか、現地へ行くことができないなんて、 少々複雑な気持ちになった。しかも、滅多矢鱈に行けるものでもなく。 事前に少しだけ詳細を聞いたけれども、この島での戦没者の遺族でさえ、 年に数回しか訪れることができないらしい。 抜けるような青空が気持ちよかったけれど、慰霊碑近くにはあまり長居をしたくない・・・・ メールにはそうあった。多分、それすらも彼女の正直な気持ちかもしれない。 海外のような東京都・・・・日本は狭いように見えて、実は意外と広いということを実感させられた。 とりあえず、一番付き合いの長い親友が、無事に本土に帰ってこられて一安心。 台風に巻き込まれ、「海猿」とかのお世話になってたりしたらっ!!?? と、勝手に想像したりしていたので、ホッと胸を撫で下ろしたというのが本音のところだ。
あたくしの見聞きできない事柄をきちんと教えてくれ、ためになる話をしてくれる、 彼女のような友人は、本当にありがたい存在だと思う。 また同様に、あたくしの置かれている状況をきちんと理解してくれた上で、 常にお節介未満で心遣いをしてくれる友人たちにも、感謝したい。 健やかにあるべく祈り、願っていてくれる人がいるっていうことは、実にありがたい。
新たな絆もある。 が、よく考えたら、それも全て、古き絆を重んじた結果であって、 軽率に振舞えば、それだけ自分に降りかかるものも違う。 たとえ降りかかるようなことがあっても、自省を忘れなければ、そういう火の粉からきちんと遠ざかる為の 手立ては自ずと見つかるものであり、それは、繋ぎ続けた今までの人脈から見つかるものでもある。 漠然としているけれど、友人らがある種の「覚悟」を用意していてくれる限り、 こっちも、同じような「覚悟」がいつでもあるような気がする。斬り合い、刺し合いがない。 ・・・・と、残った絆の事を想うと、かなり逞しいので安堵できるってもんだ。
周囲に大樹が何本もあるというのは、非常に恵まれていると思う。
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