「呼吸」というものを、人から教わったことがある人は、 どのくらいいるだろう・・・・。 あたくしは、多分、その区分でいくと、マイノリティの方。 教えてもらった経験のある方だ。
肺から羊水を全て吐き出して、人間は初めて肺での「呼吸」を開始する。 誰に教えてもらうわけでもなく、自然にそうせざるを得なくなる。
肺呼吸を始めてから20年くらい経った頃。 あたくしは、生存目的以外の「呼吸」を教えてもらったことがある。 それを教えてもらって以来、 あたくしは、およそ90〜120秒、発声したまま息を吐ききる技を習得した。 逆に、およそ60秒、吸い続ける事も出来るようになった。 肺に息を溜めたまま止めるのも、90〜150秒くらいは出来るようになった。 息を止めたり、長く発声することは、ひょっとしたら 挑戦すれば簡単に出来てしまう人も結構いるかもしれない。
が、60秒かけてずっと吸い続けることができる人は、 多分、そんなにいないと思う。
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こらこら・・・・これを読んですぐ試そうとするんじゃないよ(笑)。 一朝一夕に出来れば、あたくしだって発作なんかに苦しめられずに済んでるんだから。
今日、踊っている時に、ふと「先生」のことを思い出した。 何故かというと、先週休んで、大して体を動かさぬままでいたのに、 ストレッチをしていたら、随分曲がるようになっていたからだ。
あたくしは、体が柔らかい方ではない。 立位体前屈なんかやらせても、マイナス数値しか出ない。 勢いをつけて、「えいっ!」とやっても、せいぜい2〜3cmいけばいいほうだ。
こんなあたくしの根本を揺るがすような「魔術」を見せてくれたのが 「先生」だった。 「先生」は演技だけでなく、呼吸の仕方まで教えてくれた。 呼吸法だけで、ガッチガチの身体を曲げてしまう神業を、あたくしはこの目で見た。 それは、仕掛けのない手品でも見ているかのようで、 どうしてそうなるのかという、タネみたいなものは教えてもらえなかったが、 実際に、「曲がらなかったものが曲がる」という現実を見せられてしまうと、 「そういうものか」と納得せざるを得ない。 スプーンが曲がるのとは訳が違う。 人間の肉体という、己で限界を知る有機物が その限界を超えて曲がる。
不思議だったが、面白かった。
故にあたくしは、別段コントロールする必要のない自律神経管轄のところにまで 神経を張り詰めさせる、一見意味のないことが出来るようになってしまった。 (例えば、瞬きを一度もしないまま、5分間ずっと目を開けているとか。)
「先生」はもう、亡くなってしまった。 自ら命を絶たれた。 自ら、呼吸するのをやめてしまった。
あたくしが、無意味に発作を起こすのは 「先生」がするはずだった分の呼吸を請け負っているからなのかな・・・・? などと、非科学的なこともたまに思う。 都落ちした今、「さびしい」なんてもう思わなくなったけど、 いつもより桜の開花が早いので、 この土地よりも桜が沢山あった東京のことを思い出した。
東京で学んだこと。 それは、呼吸をすることだった。
明日は御彼岸。 全国的に、お休みらしいことを今日知った。 増えてきました。 「ハリケンジャー」で検索かけて、ここに辿りつく人(爆)。 未だに「アギト」関連の検索も多いです。 誤解のないように、今一度申し上げます。 ここは、個人的な特撮ファンサイトではございません( ̄∇ ̄;)
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