定期的に何處かに短歌を發表してゐる。
 しがない田舍町の小さな短歌の倶樂部が發行してゐる册子に、毎回僕のは載ってゐる。KからもEからも始まらぬ名前で毎回僕は選んで貰って居る。
 詩の才も歌詠みの才も僕には無いと自分では判って居るから、何度も其處を拔けて歌から離れやうとした。
 だが、一人だけ僕の作品を襃める人が居て、其の一人が僕が其の人の關わる世界から離れたがるのを哀しむ。
 他の人達が僕の事を如何思ってゐるのかは大體知ってゐる。自らの力ではなく、自ずから才を發揮したのでもなく、七光り故に自分達の上に居座ってゐる存在として見なされてゐるのだとはよく判って居る。

 僕に關わりたがる人の殆どは僕の祖の崇拜者で、僕自身を見てゐる譯では無い。
 僕には自身を見て貰えるほどの才が無いのだと、自分で知ってゐる。
 それでも偶に想ふのだ、何故彼らは其々に僕に固執するのだらうかと。ある者は僕を襃めそやし、ある者は僕を貶し、皆何故僕に近付いてくるのだらうか。
2004年05月02日(日)
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