知らんけど

2003年06月22日(日) 五感

新梅田シティにある人口森の中に蛍が放し飼いにしてあるのを見に行きました。ひっそりとした森の中に情緒ある光が待っているのを楽しみにしていたのですが、そこは人込みでした。

まあ、みんな同じような期待を抱いて来ているのでしょうけれど、まったくもって情緒のかけらもない蛍見学でした。それにしても、私も含めてなぜ蛍なのでしょうね。都会に住んでいる私達は、蛍をわざわざ見に行くのです。なんだか、蛍を一生懸命に探す、自分や周りの大勢の人達を見ながら不思議な感じになりました。

昔、中学生の頃に広島は庄原市というところに住んでいた事があります。広島市内から芸備線という電車に乗って、中国山地の山の中へ約2時間。そこは自然溢れる小さな町でした。西条川という川には、季節が来ると鮎が自然に泳いでいるようなところです。私の家は、その庄原市内の中心地にありました。家から少し歩くと住宅地の中を流れる、いわゆるどぶ川に蛍が飛んでいました。どぶとはいえ、とてもきれいな水が流れていたのでしょうね。子ども心に、自然に蛍が飛んでいる光景が不思議でした。なぜなら、広島に越す前に住んでいた東京では、蛍祭りという蛍を籠に入れて持ってきて、等々力渓谷というところで蛍を鑑賞するという祭りをわざわざやっていたのを毎年見ていたからです。

田舎では普通の光景が、都会では祭りなのです。私が小学生だった頃に比べると、都会に自然が少なくなったような気がします。昔は大阪でもその辺にツクシなどが生えていたのに、最近では滅多に見なくなりました。私が意識していないだけなのかもしれませんが。

いずれにしろ、都会にいると五感で感じる機会が減っていく事は確かなようです。人間としての感覚がこうして鈍くなっていくのでしょうか。都会の人もそれとなく感覚が失われていっている不安があるから、わざわざ蛍を見に行くのかもしれません。蛍を見に行くことも含めて、これからも感覚を研ぎ澄まして、人間らしい感じ方を維持していきたいものです。


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