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気持ちのいい朝で、いつもより少し色の濃い青空。葉の出始めた桜が風に吹かれてひらひらと花びらを舞わせている。視界の左奥の方を斜めに鳥が二羽、スーッとグライダーのスピードで横切る。ふとそちらに視線を移すその瞬間、この風景をこの位置からこの角度で、この時間に見ているのは私ひとりぼっちだと思い泣きたくなる。そんなのいつだって視界はひとりぼっちのものなのにね、変なの。たとえ隣に誰かが居たとしても、ひとりで視ているんだってことくらいわかっているのに。こんなふうに、今の一瞬がどうしようもなくひとりぼっちで、その一瞬を繋げてゆくしかないんだってことが時々身にしみる。高野文子さんの「棒がいっぽん」という作品集があって、たぶんこれより好きな漫画の本はもう出てこないだろうなと思うくらい好きなのだけど、この本はそんな一瞬についての本だと思っている。記憶や想い出からこぼれ落ちてきた小さな一瞬、視界の端をかすめた郵便ポスト、腰をおろして見下ろした自分のサンダル、そういうことこそが今に繋がっているんだよって。そんなことを昨日の朝、思った。
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