Diary?
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11時頃起きると、ちょうどNHKの「アジア人間街道」が始まるところだった。 ツバル。京都会議で名を知られるようになった、南太平洋の島国。海面上昇で国土消滅の危機にある国である。 島は、海岸の侵食だけではなく、内陸でも海水が湧き出して農作物ができなくなるというようなところまできているらしい。こんなになってもオーストラリアは移民を受け入れてくれないとか、アメリカは京都議定書をばっくれようとしているとか、突っ込みどころは満載である。
しかし、個人的に非常に印象深かったのは、島の漁師のおじいさんの言葉だった。彼は海で魚を釣り、陸でタロイモやココナツを育てる島の暮らしを子供たちに伝えようとしていて、インタビューにこう答えていた。
「いつか全てはなくなってしまう。だから子供たちが島の暮らしを学ぶのは良いことです。いつか何かが起きて船に乗ったとき、その船が沈んでどこかの島に流れ着いたらこの知識が役に立ちますから」
この言葉にはけっこうびっくりした。さすがに海洋の民だ。鈴木光司の「楽園」にこんな話があったけど、実際に漁師のじいちゃんがこういう世界観を持っているとは。 2日前に「ノスタルジア」を観たばっかりで、タルコフスキーの描き続けた「亡命者の悲しみ」とでもいうようなテーマについて少し考えていて、何となくああいうのは寒い国の感覚だなあと思っていたのだが。「いつか全てはなくなってしまう」と語られるのが、暖かくてそれこそ楽園みたいな島だと、なおさら悲しくなる。
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