男の元に届いた三通の手紙。
一通は姪、薔子から、 一通は妻、みどりから、 一通は愛人、彩子から。
そして、明らかにされる彼女の死の真相とは・・・・・。
というのが、ざっとしたあらすじ。 中谷美紀様は、一人三役でこの手紙のそれぞれの書き手になり、 手紙を読んでいきます。
舞台はもう一人、この手紙を渡された男がバックで苦悩を表していますが、 まあ、ほぼ99.9999%は中谷美紀の一人芝居。
小さな小屋、シンプルな装置と衣装、 そして、一人でそれぞれの立場の違う三人の女たちの、三様の女の業の独り語りという、 派手さが無い分、ごまかしのきかない難しいテキストを初舞台に選ぶ、
その衝撃と度胸にあっぱれです。 と、云ってもそれだけではありません。 ちょっと、私が見た回はかみかみでしたけど、でも、それ以上に、 この三人の女たちが又、強烈で! それをしっかり演じ分けているのですから、流石です。 そして、この三人の女がそれぞれにチャーミングなので、 男が可哀想な位にイイ面の皮です。 もういっそう、気の毒です。 ↑でも、自業自得なんだけどね。
特筆したいのが、舞台装置の美しさ。 雨→池→石砂利→板場と、場面とともに、くるくるその姿を変えていく、他には何もない、 だからこそ、印象的なセット。賞を取るといいなと思ったのことよ。
反対に、照明あんなに薄暗くしなくても良かったと思うんだけど。 私、5列目だったから見ることが出来たのですが、後ろの方の席だったら、 たぶん、全然見えなかったと思う。 やってる内容がうつうつしている話だからって、舞台まで暗くする必要はないと思うのだが。 もし、あの暗さでやりたいのなら、円形じゃないと無理ではないかと。 でも、円形だと、あのセットは無理だろうから、痛し痒しか。
あの最後の一瞬だけみせて、骨だけの、骸骨みたいな女も見れなくなるだろうし、 (あれ?私だけ)ともかく、あれを観客に見せたというだけでも、 やっぱり中谷美紀は大した女優だなあと思うのです。
ともかく、いい脚本なので、これ一度きりなんてせずに、 5年後か10年後、ひょっこりどこかで再演してくれたらと切に思います。
年を重ねるごとに違った趣が見られそうで、見せてくれる女優さんだと思うのです。
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