2011年04月12日(火) |
■ベニスの商人−劇団AUN |
バッサーニオという若者が好きな女の子にプロポーズする為に、 みなりを整えたいから、お金を貸してくれとと、 無二の親友アントー二オに頼みこみます。
バッサーニオとアントーニオの年の差、ほとんど親子。
って、女に告白するのに、友達から借金すんなよなーと思っている所に、 アントーニオ、今現在、全財産は海の上、貿易中であるとカミングアウト。
実はこの辺も、思慮深く、誰からも一目置かれているりっぱな商人と、 云われつつ、すげーチャレンジシキブルだなと思っておりましたら、 さらに追い打ちをかけるように、バサーニオ君、アントーニオの天敵、 ユダヤ人のシャイロックから金を借りようとする暴挙に出る!!
ちなみに、この舞台ではキリスト教徒は衣装は白、 ユダヤ教徒は黒に統一されていて、 判りやすく悪者になっている紳士相手に、 空気読めよと思っていたら、 すったもんだのあげく、シャイロックはお金を貸してくれる。 肉一ポンドを担保にして。 当然というか、話の流れの必然性で、借金は返せなくて、 司法の場でその決着が付けられようとする。
シャイロックが要求したのは、アントーニオの心臓、 通りすがりの美しい裁判官が下した、その判決は? そして、若いカップル達の行く末はというのが、 おおざっぱなあらすじなのですが、 てゆうか、そもそも、いつもこの芝居を見るたびに思うのです。
何で、みんな、そんなにバサーニオが好きやねん。 金なしで、状況判断が出来ない甘ったれじゃん。 なのに、アントーニオも親友の為に力になりたいからと、 そもそも借金の肩代わりをするし、結婚の申し込みに行ったポーシャは、 彼にメロメロで、父親の言いつけた結婚の条件、 この謎を解いたら、娘をやろうクイズの答えを遠巻きに教えてしまうし、 どうして?なぜなの?と思っていたら、今回初めて、判りました。
それは バサーニオがステキだから!! 谷田歩さんのバサーニオ、 すっごい良かったよお、ヾ(≧∇≦)って、顔文字入れちゃう位良かったです。
若くてハンサム、そして、低く甘い声。 ああ、これならメロメロ来ちゃうのも頷けます。 借金の保証人になってくれるアントーニオにちゅうとか、 しちゃっても、違和感がないのはベニス市民だから?
そんなんだから、アンタのせいでアントーニオは窮地に陥っているんだよ と、判っていても、借金を三倍で精算するからアントーニオを許せという、 裁判官の意見に耳を傾けないシャイロックを、 悪党とののしることが出来る、 青年らしい正義感が、傷ついたことないんだろうなという若さが、 そゆ故の愚かさが、転じてステキに見えるという、 役者が変わることでこんなに違うんだなと、びっくりいたしました。
彼がステキなので、謎の裁判官=彼の若妻 (旦那が心配でこっそり付けてきた)のお裁き、 ―――――実はユダヤ人はベニス市民をむやみに傷つけてはいけないという、って、おい。それ、初めから思い出していたら、何の問題も無かったのでは?というオチも、いつも以上にすっきり受け入れられたのに。
何もかも丸く収まって幸せ一杯な若いカップル達を、 独りぽつねんと見送っていく、 もしかしたら、バサー二オのことが好きだったかもしれないアントーニオと、 この一件でキリスト教への改宗を命じられ、証として今までの黒い衣装、 ―――――この舞台では白=キリスト教徒、黒=ユダヤ教徒に分かれていて、趣旨替えするとすると、衣装の色がチェンジするのだ、 から真っ白いスーツに身を包み、居心地の悪そうな顔をして、 傘を差し、停車場で佇むシャイロックと思わず目が合う、 ラスト場面。
原作には無いのですが、ただの喜劇に終わらないほろ苦さが妙に印象に残りました。
シェースクピアって、やっぱり演出と役者なんだなあと、改めて。 劇場もそんなに大きな所ではなく、だからこそ、 シンプルな装置と役者と演出で見せる劇団AUNのシェースクピア。 次回の十二夜も是非、見に行きたいです。
そいで、谷田さん、シザーリオやってくんないかなあと、密かに希望です! お願い!
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