思い、願い。。
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中学受験日記。 (上の子(娘)の受験は2004年2月まで)

中学受験日記から4年数ヶ月、その間、3人目出産、起業し・・・

2003年01月09日(木) プチ家出

今日は息子の誕生日だった。
誕生日に初の囲碁教室参加ということで、学校から帰るとずっと待ち遠しくて落ち着きがない息子。
時間近くには疲れ果ててしまったのか、テーブルの下で眠ってしまっていた。
床暖房で気持ちいいのだ。

時間だよ、
と起こすと、パッと起きて支度して出ていった。

息子が出て、早速、ケーキの材料を買いに行く。
卵,板チョコ,生クリーム,いちご。

本当は友達を呼んでパーティーがしたかったらしいが、
2年生になってから誰からも呼ばれていない。
呼ばれていない以上、こちらからも誘えない。
だって誕生日パーティーって相手にもお金を使わせてしまうから。
やっぱり気がひけるのだ。

囲碁教室では一番その教室で強い子ども(小5)に1勝したと喜んでいた。
教室のおばさんにも勝つことができたという。
先生には置き石6個でも負けたという。
ますます強くなりたいという想いに駆られたらしい。

暮れに、私の仕事の関係で、現場へ連れてった時、元旦着に間に合わせるための折り込み作業を、子供達も手伝っていた。
途中、用事で抜けるために子どもも一緒に連れていこうとしたら、「人手が足りなくなるから。」と子どもでも役にたったらしかった。
その後、仕事おさめで忘年会もどきをやり、11時過ぎに自転車で帰ってきた。
その帰り際、手伝ってくれてありがとう。と、子供達は社長から図書券をもらってきていた。

今日、月刊コロコロコミックの1月号を買いそびれていることに気付き、
15日に2月号が発刊になってしまうともう店頭にはないに決まっている?ので、
もしかしたら在庫はもうないかもしれないが、一応行ってごらんよ、と、
夫の仕事帰りにそのまま車で子供達を拾って本屋まで連れてってもらうことにした。

娘には「りぼん」「なかよし」「ちゃお」の代金分の図書券3枚=1,500円分を渡し、
それぞれ二人には「これでおつりが来るからね。」
と伝えた。

夫からの「家の前に着いたよ」コールで、、子供達を外に出し、
私はケーキの準備と息子がリクエストしていた「クリームシチュー」を作っていた。

しばらくしてチャイムが鳴る。
マンションのオートロックの画面に二人がうつり、雑誌をぶらさげているようだ。
「全部買えたの?」

息子は「うん。」
と答えたものの、
娘は「早くして!」
と怒っている。

家に入ってくるなり、娘は、
「恥かいた!ママのせいだ。お金足りなかった!」
と家中に音をたてまくり怒りまくっている。

雑誌1冊、400円くらいだ。
3冊買ったっておつりがくるはず。
足りないなんてことはないんだ。

私はどういうことなのかきちんと話を聞こうとしても、
私のせいだ、とまくしたてるだけで、ちっとも話にならない。

夫も、
「消費税がかかるからだろう。きちんと確認してやらないお前も悪いよ、かわいそうに。」

などと言っている。

私のせいなのか?
私が悪いのか?

私はシチュー用に炒めていた鶏肉をフライパンごとほおりだし、持っていた菜箸をキッチンのタイルに投げつけた。
怒ったままベッドに布団をかぶってうずくまっている娘を、ベッドをひっくり返って落としてやった。
もう壊れている。
もうどうにもならないのだ。

こんなことは初めてだ。
どんなに腹が立っても料理を途中で投げ出したことなどない。
それも息子の誕生日だ、腹が立つことより祝ってやることの方が大事なはずだ。

でも私の気持ちはおさまらなかった。

毎日毎日娘に怒鳴られ、怒られ、なんで私はこんな扱いを受けなきゃならないんだ。
私は母親なんだ。
私がいなけりゃ何もできないじゃないか。
掃除だって洗濯だって料理だって、学校行くのだって、一人じゃ何もできないじゃないか。
冗談じゃない。
私は娘の友達じゃないんだ。
私は母親なんだ。
私は娘より年上なんだ。
自分の機嫌だけでののしっていいのか!

「出ていく!」

焼き上がったであろうケーキをオーブンから出し、後は勝手にやっておいて、と言い、カバンを持って出ていくことにした。

夫が玄関まで来て、
「行くところなんてないだろ。」

「ホテルでも泊まる。とにかく今は気持ちがおさまらないから、頭を冷やして気持ちがおさまったら帰ってくる。」

本当に行くところなんてない。
実家なんてない。
母は再婚しているし、私の居場所なんてどこにもないんだ。
この家しかないんだ。
この夫しかいないんだ。
私の居場所なんて本当にどこにもないんだ。

今の自分の立場をすべて捨てられたらどんなに楽だろう。
今夜12時に更新なきゃならないページがあって、
明日新しい原稿の打ち合わせがあって、
今日は息子の誕生日でもあるんだ。

私がどこの誰でもなくて、このままどこか知らない街に行って、
飲み屋で雇ってもらったって何とか生きていけるかもしれない。
水商売やって、お酌でもして、それなりに生きていけるかもしれない。
本当にそれでいいのか、それでいいのか、それでいいのか。

とにかくホテル探そう。
ホテルがあるといえば桜木町の方だろうか。

家から10分くらい歩いたところに時々夫が連れてってくれるラーメン屋があった。
「平成夫婦茶碗」でもこんな気持ちの時にラーメンだったよな。
歩きながら涙が流れてくる。
私って何なんだろう。

食券買って一人カウンターに座り、やっぱり涙が流れてくる。
それも器用に右目だけ流れてくるんだ。
目が疲れたフリして涙をぬぐう。

食いながら考える。
420円,420円,450円,雑誌の価格だ。
消費税込みの金額だよな。
それにさ、消費税って500円でも25円しかつかないのに、
どう考えても1,500円以上かかるわけないだろ。
そうだよ、自分を信じろ、
いつも家計簿に書いているじゃないか。
娘の本代1200いくらって。

5分くらいで食ってさっさと店を出て、
携帯で夫にかける。

「ねえ、買ってきた雑誌を見てほしいんだけど。」

「あ。。マーガレット。。
あいつ、4冊買ってるよ。
なんだ、あいつのせいじゃん。
お前は悪くない。
今どこにいる?」

「ラーメン食ってそっちに向かうとこ。
よーく言っておいて。」

玄関のドアをあけると、夫が娘に言い聞かせていた。
自分が間違ったんだからちゃんとママに謝れ、とか、
ママがいなかったらお前は存在しないんだぞ、とか、
ママに対しての態度をあらためろ、とか、
ママが怒って当然なんだぞ、とか。

結局、私の家出は約30分程度で終わってしまった。

帰ったら息子宛にFAXが届いていた。
私の仕事関係の人たちから、ケーキの絵と共にスタッフの寄せ書きがいっぱいだった。

私は料理の続きをして、息子は私に、
「僕の誕生日がなくなっちゃうかと思った。」
「誕生日には間に合うように帰ってくるつもりだったよ。」
「よかった。」

9時に「ハッピーバースディー」を歌った。


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