Love Letters
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あなたと知り合った頃、
私はちょっと不幸せだった。
当時の私は、
自分の中の大人の良識とプライドで
いつ壊れるかもしれない不健康な心を
ぎりぎりのところで保っていた。
世の中、
もっと不幸な人が沢山いるということを知らないほど、
私は世間知らずではなかったし、
毎日悲しみに浸っていられるほど、暇でもなかった。
幸い私の仕事は、
熱意ある大人や子供達のひたむきな姿に
日々触れることが出来るものだったので、
少なくとも仕事をしている間は、
私は、その不幸せから逃げている事が出来た。
思い出しても自分が愛しくなるほど、
他人の前では健気に笑顔を見せていたと思う。
本人は健気に振舞っていても、
私は、客観的に見て
「とてもつらい立場にある人」だったから、
あまり仲良くない友人に
信仰宗教まがいの励ましの言葉を頂いたり、
目の前で同情の涙を見せられたり、
「あなたは強い人だね。」などという
無関心という名の誉め言葉を頂いたりもした。
そんな時に出会った、
とんでもない人があなただった。^^
関西では男の価値は、
「好きな女の子をどれだけ笑わせてなんぼ」のものだって
あなたは言ってた。(謎)(爆)
あなたは口説きではなく、
シュールなギャグで私を落とそうとしていた。^^
ユーモアが、悲しみから人を救うってこと
あなたは知っていたの?
悲しみで心が麻痺して、
心の底から笑うことすらできなかった私なのに、
気づいた時には、
あなた特有の
屈折したシニカルなユーモアに
ものの見事に降伏させられていた。^^
それ以来、
私の心がネガティブな方向へ傾いている時、
あなたは決まって、ナンセンスなジョークを連発する。
あなたのジョークはいつも
私の笑いのツボをしっかり刺激する。
似ているのは、ユーモアの感覚だけではなく、
私達の間には以心伝心みたいなことがよくある。
先日、あなたが「指輪を贈るよ。」と言ってくれた。
私はあまり物を欲しがらない。
あなたと共にする、美味しい食事や
素敵なホテルのお部屋には心惹かれるけれど、
何か形に残るものを男の人からプレゼントされたいと
思ったことがない。
お洋服もアクセサリーも
自分のお給料で自分の好きなものを買いたい
可愛げのない女だった。
ところが、最近ふとしたことから指輪が欲しくなった。^^
アメリカ人と日本人の友達数人でお喋りをしていた時のこと。
婚約間近のJoeが、彼女に贈るエンゲージリングを
幸せいっぱいの表情で私達に見せてくれた。
一人前の大人の男が見せる
とろけそうに甘い表情を見て、
『うーん。いいなぁ。』と思ってしまったのだ。
あなただったらどんな表情で、私に指輪を贈るだろうって…
その時のあなたの表情が見たくなったのかもしれない。^^
それから、数日後。
あなたに突然、
「来月になったら、指輪を贈るよ。」って言われた。
「どうして私が指輪を欲しがってるってわかったの?」
「以心伝心。」とあなたが笑う。
「実は、この前のデートで聞こうと思ってたんだ。
指輪とか欲しい?って。」
こんな風に、あなたには不思議なくらい、
私の心のからくりがわかってしまう。
降伏させられたのは、 私の心だけじゃないね。
初めてあなたに抱かれた時、
私はとても不思議な気持ちだった。
あなたとは初めてなのに、
もう何度も肌を合わせた古い恋人同士のような感覚。
あなたはまるで
私の全身に無数に散在する敏感な部分を
初めから知っているかのように私を愛撫した。
抱かれた後、
「他の女性もこんな風に抱くの?」という私の愚問に
「こんなやり方をしたのは、正直、小夜子が初めてなんだ。」
とあなたが言った。
あなたは、他の誰にもしたことがないやり方で
私を抱いた。
私は、他の誰にもされたことがないやり方で
あなたに愛された。
心にも身体にも
あなたがくれる
適切な愛撫。
小夜子
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