Love Letters
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2003年02月13日(木) 港のある街で

 
 古い、大きな船が停泊する

 港のすぐ近くに

 あなたのお気に入りのバーがある。

 いつものように

 あなたはウイスキーを、私はカクテルを数杯飲んで

 心地よいほろ酔い気分。



 「少し散歩でもしようか。」

 あなたは笑って、そっと手を繋ぐ。



 あれは何度目のデートだったっけ?

 夏の終わりを告げる

 涼しい夜風が、

 火照った肌を優しく撫でていたね。



 港に浮かぶ数隻の船の灯りに

 夜通し美しく照らし出される公園。

 あなたとベンチに座り、おしゃべりしたね。



 私の腰をそっと抱き寄せて、

 私の髪に頬擦りするあなた。


 「いい香りがする。」

 低い声であなたが言った。


 「小夜子の香りかな。」

 「好き?」

 「ああ…」


 そんな小さな会話さえ今も覚えている。



 さらに私を優しく抱き寄せて、

 私の顔を覗きこむようにして、

 そっと口づけた。

 舌先を絡めるだけの短いキス。



 甘いお喋りの合間に

 小さなキスをいくつもしたっけ。



 あの頃は、

 あなたの名前を

 ファーストネームで呼ぶことさえ、

 もどかしかった私。



 照れてる私が可笑しいって

 いつもあなたに

 からかわれてばかりだった。



 春になったら、またデートしようね。

 港のあるあの街で。



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小夜子

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