Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2019年06月10日(月) |
静岡からの帰りみちにジャズのことをつらつらと考える |
富士から高速に乗る見える富士山は雨雲に隠れる、ふもとの重なった山々から水蒸気が湧き上がっているから幾重にもセロファンで透かしを描いた日本画のよう、こんな光景ははじめて見た、
“なんだか洗いたての眼球で世界を見たような気持になった”、文藝春秋、三浦しをん、さっき読んだフレーズ、
静岡でざるそば天ぷら2千円ごちしてもらって言うのはなんだが福島で食べたのより水っぽいしつゆと薬味に芸がないかな、天ぷらはうまいよなんで社長は天ぷらつけない、日本料理の範疇では天ぷらというのは芸がない代物だなんてはじめて聞いた、
はじめてパトロールする静岡市の昼間、スタバにおしゃれな本屋にココイチ、市内に唯一残る天神湯の昭和感にひかれて、交差点を右折するとクルマ1台がくぐれるコンクリートの鳥居、
2時間も待てないので、天然温泉お風呂カフェ美肌湯にする、
蓮見令麻の『Abiding Dawn』をかけて新東名に乗る、富士のふもとの幻想的な雨雲のおおきなナナメの地形に沿うように、おおきななつかしいお布団で目を閉じるような気持ちよさ、
1. Tyshawn Sorey Pillars (Firehouse 12 Records FH12-01-02-028)
タダマスで年間ベストを発表するのは8回目、タイションが1位、4位、そして今年また1位、、 タイションが突出した1位で、群を抜いていた、あとは順不同でもいいくらい、
3CD+2LPをほぼフルスペックという時間が先立ってある、全体像といったものはない、 そこは、聴取が記憶として構造化されることを拒絶する「純粋経験」と言えるかもしれない、
スルドイ論点ですね、そういえば月光茶房の原田さんが、あれはすごいんだけど、あとから思い返しても憶えられない演奏、とか言ってた、
なんであんなユルんだ現代音楽みたいな作品を1位に挙げるんだと批判されて、現代音楽に似てるのあるの?と問うと、ジョン・ケージの龍安寺かなと言われて、聴くも全然OSが異なる演奏で、海外のレビューでも現代音楽作曲家の名前を並べて賞賛するものもあったけれど、言うことに事欠いての印象だった、
昨年末から、底が抜けた感覚というか、しばらくジャズ聴けなくなってしまった、ゴルフ場の駐車場でボーっとしてても『ピラーズ』の中に居るような、あれは演奏のやり取りではなくて、磁場なんじゃないか、東スポじゃないが、菊地雅章は生きている!と言いたい衝動に駆られる、
これまでタダマスで何度も話したけど、菊地雅章のスタジオにモーガンやニューフェルドやタイションやRJミラーなんかが来ていて、タイションは演奏にインできなくて叩けなくてショックで何日か顔を出せなくなっていたというエピソード、ニューヨークのスタジオからメールをもらった当時のオレはタイションもミラーもまったく気にしてないリスナーだったから(ミラーは名前すら知らなかった)、まあそういう若手はいるだろうなあという印象しかもっていなかったけれど、その後にどんどん判明してゆくのだ、菊地雅章に触れた、菊地雅章の地平を知ってしまったミュージシャンたちというのは、モーガンやニューフェルドやタイションばかりではく、ミラーも、ハスミレマもそうだ、キタミアキコもそうだ、なんか、アートの次元でどこか枠が外れているんだと、思う、
それはきっと東京ブルーノートで菊地雅章TPTトリオを体験して、身体が冷たくなって動けなくなってから、ずっとそうだった、
『ジャズが果敢に自らを更新することにより生き延び、「ジャズとは似ても似つかない新たな『ジャズ』」へと変貌を遂げていくとしたら、そこで途切れなく持続している「ジャズなるもの」、あるいは「ジャズの創造性」とは、ジャズ固有のフレージングやスタイルでも、サクソフォンのヴォイスでも、ブラックネスでもなく、こうしたリアルタイムの飛行感覚ではないか‥‥、私はそう考えている(だから「ジャズの新たな章」とは、いつまでたっても自己を更新できない旧来のジャズの、延命のためにだらだらと書き継がれ続ける「続編」でしかないとも)。』
透明性/不透明性 「タダマス32」レヴュー Transparency / Opacity Live Review for "TADA-MASU 32" ■
福島恵一さんのレビューにちゃんと応じられないままでいる、
菊地雅章に接触したミュージシャンたち、というくくりを意識してはいないわけだが、今年に入って自分の中で突出している新譜はRJミラーとハスミレマだけだったりすると、なんだよおまえかよ、というみたい浮上してくる、というか、さ、
メルドーやエスペランサ、マークジュリアナの新譜を聴いたが、ザミュージックになっているんだな、楽器奏者が描くワンワールドというやつ、それもうポップス、で、元をたどればパットメセニーやフリゼールがそういう歩みの先鞭をつけてたんだわ、演りたいことを実現しているんだから許してきたんだが、で、奏者としてジャズやれよな、メセニー〜ジムホール交感即興では爺さんの圧勝だったしさ、
タダマス現代ジャズを特徴付けるレイヤー構造の流動体について、浮遊感とも、飛行感覚とも、で、わたしたちリスナーはプレイヤーであることでも聴取していて、瞬間瞬間の立ち振る舞いや意図や逃げや耳の目配せなんか、手を取るようにわかってしまうわけだ、もうジジイだからさ、
ジジイでも、時にゾゾケが立つわけよ、瞬間的な理解が宙吊りになるって言うの?、定型・定型ズラシと進む将棋の駒の定石の安堵感をすり抜けるように「なにそれ!」「いま、何言った?もういっぺん言ってみろ!」と、霊が見えて後頭部の髪がうにゃにゃとあれは本当に髪の毛が逆立つ現象なのだが、
と、書きかけてみても自己への問いにはなっていない、
3. Christopher A. Hoffman Multifariam (Asclepius Records) ■ ■
おれはこれが2位だと思ってた、変態ロックアンサンブル、サウンド妄想系、ダーク、で、ポップ、楽曲の手法に新しさ無し、「あるある」をすり抜けている、閉塞感の細部に広がるやっぱり妄想系と言ってしまう、グロテスクな絵画のはじっこの丘の上に気が付けばトニー・マラビーがヘロヘロ吹いてる、次世代のジャズシーンを担うサックスと言われて20数年、こんなところで?が実は正解だったかもしれない、というか、日本じゃまったく認識されていないけれど、トニー・マラビーというのはシーンのミュージシャンたちにとってメンターな存在だという、
クリストファー・ホフマンって、ヘンリー・スレッギルを体現している奏者、なのに、この変態音楽、見事にわからん、そこが胸をしめつける、ジャケが軟体宇宙生物かと思いきや、ブロンド女性の顔の部分がニョロっと出ている、これはアートか?とはぐらかす、
音質がMP3仕様だというのも、タイションのCDとアナログ音質との対比になっているようで、あわせてみると「音質はモンダイではない」と主張されているようだ、
ここから前へ進めていないので気分をかえてマイルスを聴く、
MILES DAVIS - Time After Time ■
タイミング、強弱、かすれ、はずし、音割れ、どの一音も“神”である演奏、というのは、これである、 したがって地の演奏もまたそうなのである、ほんまやで、鳥肌ずーっとやで、わし、
3. Rema Hasumi: Abiding Dawn (Ruweh Records At Home Series) track 4: Wonder Through (Rema Hasumi) 4:17 track 5: Emerge (Rema Hasumi) 4:01 Rema Hasumi - voice, piano, analogue synthesizer. recorded by Todd Neufeld at their home in December 2018 - January 2019.
ありのままの謎である、耳と手の身動きが手に取るようにわかるが、わたしの耳は納得を追走し続けて恋するようである、Play Your Own Thing とはこのような表現だと思う、
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