Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2018年07月01日(日) |
宇多田ヒカルと若林恵 |
2018/06/30 NHK「SONGSスペシャル 宇多田ヒカル」 ■
宇多田ヒカルがNHKソングスに出演、インタビューを”指名”したのは又吉直樹と若林恵、宇多田ヒカルが番組の終わりにたくさんのインタビュー対談がどう編集されるのか楽しみだと語った、
若林恵が、原発とか Me Too とか社会との接点が明示的でないのは?と問う、宇多田は50年前または50年後のリスナーを想定していると応じる、
若林恵のあえての問いは、そして宇多田のあえての応答は、リスナーの抗弁にも似た「いや、そんなことはない、宇多田ヒカルの歌は充分に現実に対抗するちからを与えてくれている!」と自発的に思考させている、
「あなた」は我が子に向かって歌われたものだろう、”戦争の始りを告げる放送もアクティヴィストの足音も届かないこの部屋にいたい”というフレーズをもってして社会を歌っているというわけではなく、
「初恋」や「誓い」といったトラックの、音楽としてより高い、表現としてより高いものを体験させられたリスナーは、その生活基盤となる社会にあっても”より高いもの”は(現在でも)可能なのだと勇気付けられる、といった、
そういった自発的な思考をもたらすという意味で、若林恵の問いかけは見事なのだと思った、
ここまでが前段、として、
宇多田ヒカルのインタビューで「原発」という語は挑発的に感じられるかもしれない、が、若林恵が今年上梓した『さよなら未来 エディターズクロニクル2010-2017』(岩波書店)にぐっときたのは「ワインバーグ博士とありえたかもしれないもうひとつの原発の物語」という章だった、
原発にはクリーンで安全な「トリウム熔融塩炉」というオプションが存在すると、このテキストではじめて知った、これを知ると原発推進も反原発もちょっと待ってみようよ考えてみようよとぼくは言いたくなる、
多くのマスコミとジャーナリズムは電通と東電に仕切られているきらいがあるので、トリウム熔融塩炉の可能性にフォーカスされることはなく、岩波書店の良心が「ワインバーグ博士とありえたかもしれないもうひとつの原発の物語」を書籍化したのだと勘ぐるおれ、
ともあれ若林恵は、宇多田ヒカルのインタビューで「原発」という語を出す資格は充分にあるのだ、
わお、続々と読める若林恵さん、すごいです、
特別寄稿エッセイ 若林恵「コロンビアよ、あとはよろしく」 ■
インターネットは失敗に終わったのか 元『WIRED』編集長・若林恵が仕掛ける対話の場 ■
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