Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2015年11月24日(火) 締められたほうは体がぐうっと伸び








花の七年組
石原慎太郎、大島渚、青島幸男、五木寛之、船村徹







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開拓団として満州へ。現地の農民が開拓した土地を、ただ同然の値段で強制的に買収したんだよ。農地を一戸当たり二十町ぐらいもらえ、苦力(クーリー)っていう中国人人夫を雇ってみんなやらせちゃうんだ。

終戦翌日、略奪が始まる。

そのうちにおばさんたちは、わが子の首を絞めて殺し始めて。「お父さんとこに行くんだから、手を合わせなさい」と言うと、子どもが言われたとおりに手を合わせて座る。その後ろからひもで首を絞めるんだ。まだおんぶされているような小さい子どもは、きゅっと押さえるだけでいい。息が止まると、順に枕を並べて、「お母さんも後から行くからな、先に行っとれよ」っちゅうようなことを、みんな独り言みたいに言いながら。

大きい子は大変なんだよ。苦しいからどうしても抵抗しちゃうわけだ。お母さんも力尽きて首を絞めてる手が緩んじゃう。そうするとまたやり直しだわな。それを見とった看護婦の経験者が「苦しい思いをさせるのはかわいそうだ」って、要領を教えてくれたんだよ。首に巻くひもに余裕を持たせて、そこへトウモロコシの茎を二本ぐらい入れてぐるぐるねじり上げるんだ。そうするとちょっとぐらいじゃ緩まない。締められたほうは体がぐうっと伸びて、あおむけに反り返るんで、そのみぞおちを足でぽっと蹴ると、さっと息が止まっちゃうんだよ。

そういうふうに子どもたちを殺してしまうと、今度はおばさんたちがお互いに「それじゃ、今度は私を頼む」「はい」って順に首を絞める。

畑の中に七十三人の屍が横たわっている。それがさ、衣服をまとっている死体はほとんどないんだ。お母さんたちがちゃんと枕を並べておいたのを、ごろごろ動かされて服がみんな盗られちゃってる。ほんとにぶざまな格好で、裸の屍が横たわっていた。
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久保田諫 「ただ一人、私だけ死にきれなかった」 NHK「ラジオ深夜便」2015年10月号





4000粒の恋の唄 / あがた森魚  作詞作曲:吉井和哉 2009
あがた森魚 vo 会田桃子 vln 熊田洋 p 東谷健司 contrabass 北村聡 bandoneon 渡辺亮 per 桜井芳樹 el-g
池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ) sound design






Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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