Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2014年07月28日(月) |
タダマス14感想ノーツ前編 |
タダマス14、皆さま、ご来場ありがとうございました。 仕事ばたばたで後記が遅れましたです。五十三次であり、東京タワー赴任である。
当日の選曲がアップされました>■
ゲストの井谷享志さんは平井庸一グループや都築猛トリオで聴いていたはずだ。この6月にはヴィジョン・フェスティバルで藤井郷子4で出演している。藤井郷子4は、藤井、田村夏樹、加藤崇之、井谷というメンバーで、とにかく演奏力が高い。ここで「演奏力が高い」というのは、もちろんジャズの演奏であることでもあるし、演奏の可変性の高さ、とか、自在度、とか、聴くほうとしてはいろいろ言いようがあるんだが、一言で言えば“謎の持続力”と言ってしまっていい。
藤井、田村、加藤に相応しいレベルのドラマーである、そのことにまず井谷の存在に惹かれる。
タガララジオ46では、フリージャズはもういらないと書いてしまった。副島さん追悼になるこの号に書くのもどうかと思う。だけどおれは業界の人間ではないし、生業としているわけでもない。フリージャズは世代のはしかだ。このおれも世代のはしかに罹っていると言っていい、Edition of Contemporary Musicが発火した1969年の視野を、おそらく絶対視しているのだ、振り返ってみればクールジャズの問題系にしか耳は反応できない。
1. Tony Malaby Tamarindo Tony Malaby - tenor & soprano saxophones; William Parker - double bass; Nasheet Waits - drums. 演奏力という点で、何を演奏してもとんでもないレベルなトリオだ。フリージャズな面子だが、フリージャズではない。黒人も白人も関係ない、クールジャズだ。黒人にしか出せない演奏力ではある。何を書いているんだか。
2. Rob Garcia 4 Noah Preminger - tenor saxophone; Dan Tepfer - piano; Joe Martin - double bass; Rob Garcia - drums. これはモロにクールジャズだろう。そしてこのメンバーたちは現代ジャズシーンの中核を担っている。
3. José James 4. Taylor McFerrin 5. David Binney さすが益子さん、じつにいいトラックをセレクトして聴かせてくれる。訛りだったり変拍子的だったり、溜めの絶妙なグルーヴなり、デフォルトとしてすでにある手法として消化し切って配置してみせるテクネー。これが、インターFMのバラカンモーニングでかかったりしたら、「やったー!さすがバラカンさん!」とこぶしを天に突き出すだろう、おれ。圧倒的に気持ちいいと体感しつつ、同時に飽き飽きしている精神の飢餓状態のブレンド。
そんなことは、踊れないテクノから音響派に混交して雨後のタケノコになった90年代から、ワールドミュージックと混交して雨後のタケノコだった70年代フュージョンからブラコンから、レゲエとビートに混交して雨後のタケノコだったパンクロック80年代から、既視感は同型だ。
ラーメンなんでも載せのドンカンってこういうことではないのかの。こんなものをジャズだと言って何になる。ちょいと新しいお洋服を着ただけだろ。おれは音楽のかたちをしていないジャズを聴くのだ。いつだって消える用意はできている。言いすぎだろ。
パットメセニーユニティバンドがブルースホースビーとツアーしているけれど、ももいろクローバーZと一緒に演ってもいいのでそ。
このあたりの音源について、長兄月光茶房原田店主は、かっこいい、すべて買う、お店でかける、おしゃれな女子が入店したらかける、たださんが来たらかけない、とまで気に入っている。わははは。痛快だ。
飯倉あたりを走っているんだが、大学3年のときスイングジャーナル編集部にECMファンクラブとして顔を出していたっけ、月給18万だけど編集部に入れてやろうかと言われた、そんなくだらない仕事で安月給かよ、塾でバイトしたら30万にはなるぜ、アドリブ編集部のほうが花形なのだって?アドリブ編集部のほうが先に無くなるだろ、スイングジャーナル編集部だってわからんぞ。
その先の日本へ。もとい、その先の現代ジャズへ。
おれは世代のはしかに罹っている。ウルトラマンの特殊効果音に聴いた響きのその先へ。インプロもクラシックも現代ジャズも能楽も現代音楽もフィーレコをも統一する聴取理論へ。
Jazz Tokyoで秀逸な企画「音楽との出会い」。かなり感動する。 “ジャズは20世紀が生んだ最も自由で融通無礙な音楽様式だと思う。だから、意識を揺らす越境への誘惑はみな「ジャズ的」であるという地平に立つことでこそ・・・”(堀内宏公) おれは、あれだな、ノスタルジアの極北としての未来だな。やはり意味わからん。 Paul McCartney - You Gave Me The Answer ■ ここでポールを貼るのはばかにされるだけだな。
6. Sara Serpa & André Matos 親密な感情のインプロヴィゼーション。
7. Steve Lehman Octet Jonathan Finlayson - trumpet; Tim Albright - trombone; Jose Davila - tuba; Steve Lehman - alto saxophone, live electronics; Mark Shim - tenor saxophone; Chris Dingman - vibraphone; Drew Gress - double bass; Tyshawn Sorey - drums.
8. John Escreet John Escreet - piano; John Hébert - double bass; Tyshawn Sorey - drums; Evan Parker - tenor & soprano saxophones. トリオの演奏、菊地雅章TPTトリオと同じ地平である。絶品。
9. Eric Thielemans Eric Thielemans - drums, temple blocks, vibraphone, marimba, percussion.
10. Jozef Dumoulin Jozef Dumoulin - rhodes electric piano.
extra. Ingrid Laubrock Octet Tom Arthurs - trumpet; Ingrid Laubrock - tenor & soprano saxophones; Ted Reichman - accordion; Liam Noble - piano; Mary Halvorson - electric guitar; Ben Davis - cello; Drew Gress - double bass; Tom Rainey - drums, xylophone. なぜ、このゾゾケの立つ、こ、これは何の音だ、どういう演奏だ?というトラックの驚異。種明かしはグラスハープの集団即興だとか。
タガララジオ45のtrack 381のサトミマガエを、益子さんに教えてもらったと勘違いしてかけて「あれれ?こういうのはかけないの?」と失態だったが、会場のみなさんはとっても気に入ってくれていたみたいだ。
それにしても今回タダマス14の選曲はいつもにも増して選曲の水準が高いものだった。益子さんは、熱中症気味で調子が悪い、次回のほうがいい曲集まってるんですが、なんて謙遜していたけれど、よくもまあこれだけ集めてくるものだし、構成も良かった。
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