Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2013年10月27日(日) |
タダマス11「益子博之=多田雅範四谷音盤茶会 Vol.11」メモ |
タダマス11「益子博之=多田雅範四谷音盤茶会 Vol.11」への御来場ありがとうございました。みなさんにこにこと頷いてきいて下さるので、とっても幸福でございました。この写真、いつもとちょっとちがう佇まいなタダマス。別に夫婦喧嘩しているわけはありません。あ、セブンとエースですね。
「11人いる!」というのは来場者数だったのですね。あれれ?10人かな、さっきは11人いたぞ、と、すっかりタダトスレーンになるわたし。このあと、夜勤あるのでスーツ姿で。
会場で昼間に『音の隠れ家企画』新作スピーカー「BERam」(有限会社ゾルゾ)試聴会■が行われており、そのスピーカーで行った。何百万するのか、忘れた。
この日かかったのはこの10曲。■
前回から「これはジャズ/ジャズじゃない病」にかかるわたしは、今回もまた現代ジャズ=クリエイティブジャズシーンに立ち現れている徴候に面を喰らうばかりだ。
ジャズはフォームの発展と伝承にあるというのがジャズ史の理解の本筋なのだけれど、わたしの快楽主義は速度と浮遊の技法に反応しているだけである。ケニークラーク、エルヴィンジョーンズ、ロイヘインズ、トニーウイリアムス、サニーマレイときて、ジャックディジョネット、ヨンクリステンセン、不可視化したポールモチアンという流れで見ている。
即興という語は簡単ではない。椅子に座ったまま室内楽アンサンブルのように反応し合い寄り添うのもあれば、個々が速度を持ち空中でのやりとり/無視で奏者はせき立てられているのもある。非楽器的な音を呈示してたじろぐままなのもあれば、取り巻いてちょっかいを出したり、対抗して新たな図式を導入しようとしている奏者もある。
ざっくりと「不可視化した速度のアンサンブル・インプロヴィゼーション」と、まとまる???
などとつらつら書いてますが、個々のトラックについての備忘メモ。
1 Aya Nishina Tzadicだから現代音楽系、という予断を超えてた。日本の現代音楽の合唱で声がステージ中空にぐるぐる回る作品に息をのんだことを思い出した。ジャンルが特定できない自在かな。ダウンタウンシーンの歌姫たちがこぞって参加しているのが意外。
2. Linda Oh CD1曲目のアブストラクト狙いをした演奏のはみでる躍動がかなりいい。
3. Derrick Hodge テン年代のフュージョンと思いきや、「不可視化した速度のアンサンブル・インプロヴィゼーション」が菊地雅章TPTトリオと等価に把握される。音楽をグルーヴさせながらその場で作曲しているという、これ、「即興」「作曲」という語の使用だってもっと緻密に仕分けなければならないだろう。
4. Christian Wallumrød Ensemble アンサンブルで即興なんであるが、指揮棒が振れるような室内楽に聴こえた。ECMはそもそも奏者の出自・フォークをひり出す、あぶり出す、照らし出すレーベルだった。
5. Samuel Blaser Consort in Motion 前作はモチアン〜モーガンでモンテヴェルディが主題。今回はグレス〜ヘミングウェイでギョームデマショーが主題。モチアンのテクネーが伝承されている側面もありました。
6. Mark Dresser Quintet ハイパーピアノのデンマン・マロニーがヘンな音を出しまくり。個々に強度ある奏者が揃っているんだけれど、だいたい60代のオジサマたちなのがわかるところがなんとも。
7. Mary Halvorson Septet フリゼール、メセニーに次ぐ批評家投票3位!というめがね女子ハルヴァーソン。チューニングが外れていてヘンな語法は、彼女の野生だと思っていたけれど、こういうカチッとアンサンブルで発展させられる知性は、確信犯的にわかってて辿り着いた語法だったのか。演奏が若い感じがするよねー、どして?
8. Dave King Trucking Company バッドプラスは最初からどうでも良いのだが、演っちまいましたね、アブストラクトへの欲望。したいけれどダンス禁止な面白さとは室橋さん名言。
9. The Claudia Quintet ヘンなアンサンブル、ヴィブラフォンとアコーディオンもツボだけれど、音色は文化?感情?を伴っている前提で、つねに未解決をリレーしながら、ずっとサウンドを追いかけてしまうし、それに耐える構築力・知性があるのだ。この知性ジョン・ホーレンベック。ホーレンベックとジェラルド・クリーヴァーを中心にジャズ界を見渡すわたし!(橋本学、チェス・スミス、テッド・プアもだー)
10. Matt Mitchell ティムバーン「スネイクオイル」のピアノという認識しかないー、すません。打楽器奏者とのデュオ盤なんだけれど、圧倒された。抱えているモノがとてつもないカンジ、というのも頷ける。執拗に打鍵する血塗れのテイボーン?ちがうか。でええ、えらいもんを聴いちまったい。
わたしの盤としての3連単は10→9→7となる。 と、会場では断じてみたけれど、今は2リンダ・オーのトラックをCDRに入れたい。
イェーヲン・シンはチャン・ソンの奥様であるとか、中川果林ちゃんは中川昌三さんのお嬢さんだとか。判明した。
ちょいと駆け足で振り返りました。
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