Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2012年11月01日(木) |
耳の枠はずし:「トリオ」という空間−バール・フィリップス・トリオ ライヴ・レヴュー |
そうそう、ご縁があって編集CDRを交換していた佐藤洸さんが 11月5日(月)江古田FLYING TEAPOTでインプロのライブを演奏するとご案内があった。 ■ ☆<LIVE>佐藤洸 solo improvisation 11月5日(月) open 18:30 start 19:00 ¥1000+order 佐藤 洸(g)solo
即興演奏をするギタリストの旅立ちとなる最初のステージに立ち会えるのである。
わたしも一時は相当のインプロ小僧でした。インプロ以外は音楽とは言わないというくらいに。葬儀屋の見習いをしていた夏はインプロによって生きている実感を得ていたもん。
わたしの即興演奏に対する名言がここに遺されている、あ、死んでないからおれ、残されている。 ■
そんな前ふりをして福島恵一先生の最新の即興公演評をご紹介するのは申し訳ないばかりなのでありますが。
耳の枠はずし "「トリオ」という空間−バール・フィリップス・トリオ ライヴ・レヴュー Spaces As “TRIO”−Live Review of Barre Phillips Trio” ■
すごいメンバーですね、バール・フィリップス、高橋悠治、小杉武久、沢井一恵。
バールさんの即興を「幾何学の証明をすらすらと書き下すような明澄さ、思考」と、高橋悠治の即興を「数論の問題を解くような構造性への志向、多くの異なる音を弾きちらかしたり、間合いを測ったり、ニュアンスを込めるよりも、音高や強弱、リズム等を制限し、螺旋状の建築を進める演奏」と、この対比に打たれる。
おれ、名目上数学科を出たんだけど「数論って何だったけ」状態であっても、わかる!なるほど。
おれはたぶんバール「西洋合理の化身」と高橋「常に内在する批評の視線」という言い方をして終わってしまうと思う。そしてたぶん、音自体の記述から離れていってしまうような気がする。
福島さんの即興演奏に限らず、音自体に寄り添って耳をすます姿勢を学ばなければならない。このライブ・レビューには、音が聴こえてくるようなところがある。ずっと福島さんの文章で即興盤を追いかけてきたわたしは福島チルドレンのつもりなのだけど、わたしは実体が伴っていなくてつい妄想に走るスタイルで。思えば、福島さんの文章は発明みたいなものだな。記述の開祖というか、批評の革命でもあったのだ。
おれも招待券でクラシックばかり聴いてないで、早く財政再建をしてインプロのライブにも行けるようにするんだー。そして福島さんとおんなじライブに出かけて、同じ内容のレビュー文を書くのが夢だ。いや、一字一句、句読点の位置まで同じなのだ。ううう、夢すぎる。
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