Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2012年10月28日(日) |
耳の枠はずし 「兆候から確信へ - 「タダマス7」レヴュー |
お早うございます。夜明けの雲の流れと明るくなる空を、窓あけて風をきって帰る毎日です。
「時をかける少女」■な日々なんだよなー。その音楽を聴きたくなる気持ちは恋のときめきに似てたりもしてたんだ、ずっと。ジョンクーガー&メレンキャンプの「ジャックアンドダイアン」なんてしょもない80年代ポップスをなぜか今思い出した。YouTubeみたらつまんなかった。あれま。
雅楽盤を聴いて「巻きビシで動けない」と思いついたり、CDを教わったり、コンサート会場で出くわしたり、月光茶房で待ち合わせたり、You Tubeでびっくりしたり、タダマスに来てくれたみんなとのひとときとか、若い友人からオススメのバンド名を書いたメモをもらったり、ラジオで一目ぼれした曲目を信号待ちでメモったり。
タダマス7「益子博之=多田雅範四谷音盤茶会 Vol.7」への福島恵一さんからのレビューが届きました。
耳の枠はずし 「兆候から確信へ - 「タダマス7」レヴュー A Sign Turns to a Conviction−Review for "TADA-MASU 7"」 ■
5つの記事連続で多田雅範なるわたしが登場しているのでありまして、ジャズライフ買って清水俊彦をチェックし、ジャズ批評を買って福島恵一レビューを追いかけていた90年代のわたしには夢みたいなテン年代なのだ。親戚一同の写真とともにレビューいただいた記事■に、あたしゃ心底成仏したような心境でありまして、死んでどうする!、ほんと、ありがとうごめんなさいゆるしてくださいあいしてます、と、走馬灯のような映像に手を合わせて過ごすような。
さて。
わたしが「トランス状態の集中インプロ、まさに菊地雅章TPTトリオの速度と集中、に、インした演奏。」と書いた演奏、タダマス会場で「無重力状態になりますよね、皆さん!」と暴走発言した演奏は、福島さんのテキストではこのようになる。
“Alexandra Grimal『Andromeda』では、冒頭、Grimalがサックスでテーマを提示していったん退場した後の、Ted Neufeld(g), Thomas Morgan(b), Tyshawn Sorey(dr)の残り三者の絡みでは、より緊密さを増したほとんどテレパシックな交感を聴くことができた。音の身体が触れ合う以前に、匂いや気配を敏感に感じ取って瞬時に反応を返し合う。それらの音は極端に切り詰められており、決して空間を充満させることがない。眼前で鋭く立ち上がり、あるいは遠くでかそけく鳴り響きながら、彼らは淡く希薄化した音の消え際をこそ触れ合わせ、重ね合わせて、透明水彩絵具が滲むように溶け合わせることを目指しているように感じられる。空間/距離を介する中で、希薄化し、ぼろぼろの穴だらけになり、沈黙のざわめきに滲み込むことでひとつになるアンサンブル。多田がTPTトリオの来日公演に聴き取ったのこうした気配のやり取り/速度ではなかったか。”
そうでございます。ひえええ。「空間/距離を介する中で、希薄化し、ぼろぼろの穴だらけになり、沈黙のざわめきに滲み込むことでひとつになるアンサンブル。」
ベーシストの須川崇志さんの記述■も参照。
・・・思えば、速度と集中といえば欧州即興そのものではないか。
Jazz / Improv の断層はあると感じてきた。ジャズはアメリカのもんだ、インプロはイギリスのもんだ、とも感じてきた。断層は大西洋。黒人?いや、リズム感覚のマトリックス(母型)の違いだ。ただし、それはコトバによる感覚的仮説に過ぎない。
能の速度。
ジャズを捨てて京都に来ていたゲイリーだ。ゲイリーはアイラーのスピリチュアルユニティの本体だ。ゲイリーは『銀界』でプーさんを発見している(アイヒャーもこのとき録音のオファーをかけている)。ゲイリー、プー、モティアンのテザートムーン。プーを手放さないモティアン。プーに気付く2012年にダウンタウンのミュージシャンたち。ざっと40年。
禅スピリットとかケージという補助線もある。
Jazz / Improv の断層を無効にしてしまったのが菊地雅章だ。パーカーとベイリーのアウフヘーベンといった演奏水準の発明だ。ある高みに至ると、視界が開けるのは登山や猪木と一緒だ。
それはJazz / Classic の断層を無効にした■フレッド・ハーシュと同型だ。
今年は菊地雅章とフレッド・ハーシュの2つのピアノトリオの年だった、という、本質はそういう達成に在る。
モティアンの逝去と20世紀型ジャズの幕引きはこのようであった。なるほど。
この事態の変容に、旧来のジャズ感覚は決壊するわけです。昨日までのやり方はつまらないとミュージシャンはみんな本能的にわかったんだな、モーガンとかタイションとかミツバチのように伝播させてゆく天才も触媒となっている。
益子さんが90年代から事態の変容を敏感に感じ取ってきたサウンドの生成、は、この「決壊」と同時進行である。
・・・インプロの世界も更新されているしなあ、フィールドレコーディングの立つ強度も生成しているしなあ、・・・だけど「他ジャンルとの混交」という言い方はチガウんでね、やはりJazz / Improv の特権はリアルタイムの創造ではないかしらん。・・・
高水準欧州即興の反応系は開かれているのに対し、TPTトリオの反応系は閉じている傾向なのではないか。音が瞬間瞬間どのように選ばれて?必然の音、、、ジャズの感覚、、、
・・・いかん、だんだん夜勤明け電池切れ、眠たくなってきたー!未完
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