Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2012年10月08日(月) |
「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」2日目 |
夜勤明け、トリフォニーへ「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」2日目に出かける。
今日はオーケストラがなくて指揮は無し。奥さんでハープ奏者のウルスラさんの病欠で、室内楽曲のプログラムは大幅に変更された(※変更分)。ホリガーのオーボエとピアノとチェロの3にんでのコンサート。
シューマン/ 6つの小品 作品56 (Oboe d'amore, Vc, ※Pf) ホリガー/チェロとピアノのためのロマンサンドル ※ホリガー/ソロ・オーボエのためのソナタ (Ob) ※サン=サーンス/ オーボエ・ソナタ 作品166 (Ob, Pf) シューマン/ソナタ第1番 イ短調 作品105(Vc, Pf) ベートーヴェン/ 三重奏曲 変ロ長調 作品11「街の歌」(Ob, Vc, Pf)
2曲目のホリガー作曲「ロマンサンドル」、灰のロマンス。妻のクララが、晩年シューマンが心の病に苦しんでいた時期に書かれたスコアを死後の名誉を案じ焼却処分してしまった、その中に「ロマンス」という曲があったとだけ記録にあり、それをイメージした作品。
最初の楽章が。まさに、ECMの世界。微細なサウンドの配置の行方まで、ほとんどアイヒャー=ホリガーが視ているようだ。ピアノもチェロも充分に描き切っていた。2・3楽章は、ま、おれは要らないな。
前半の3曲目、自作のソロ。渾身の演奏。おのれの能力の限界まで駆使した作曲だったのだろうけど、おれは73さいのホリガーのからだのほうが心配でさ!心臓に負担かけないでくれよおおお。
サン=サーンスの出来が素晴らしかった。3者のバランスがうまくとれて、音楽が躍動した。
あとの演奏は、ホリガーと2人が横綱1人と小結2人のようで、結局ホリガーによる感覚的支配が強く、それを愉しむのもアリなんだけど、どうも演奏の出来を鑑賞するという意識から脱却するほどの音楽的悦楽には至らない。こっちもわがままな耳なのだわ。ピアノもチェロも、リサイタルを聴いてみたいレベルの奏者で期待できるけど、ベートヴェン弾きではないかな。
吹く、書く、振る、と、天才ホリガー73さい。今日は吹くのに大活躍だったけれど、6日のモーツァルト、シューマン、ラヴェルの振りっぷりは、まさに魔法使いだったし、これからは世界のオーボエ奏者であることを封印してまでも、指揮者として歩むのを観てみたい。ステージに彼が居るだけでオケの演奏があれだけ変わって、ほかの指揮者が描けない、まさに新しい音楽像を提出できるものだ。21世紀の指揮者としてのホリガーを、もういちど体験したい。
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