Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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ただいま、東京。
母の弔いで札幌に一週間滞在したけど、豪雪の北の大地、2メートル積雪国道で遭難するという岩見沢、流氷が接岸する知床半島、函館湯の川の日の出湯、砂川のラーメン屋幸来さんへの誘惑絶ちがたくも、おいらの頭ん中はアニメの「スノーマン」にしかなってねえし!、風景を見渡せばジョン・アンダーソンの声しか響かない。羽田空港に駐車してあった車に乗って湾岸からスカイツリーが見える高速道路を走れば、せせこまい大都会の道はゲームセンターのピンボールの中のようでもイッツアスモールワールド(ディズニーランドのガイスト)のようでもあり、このコンパクトな小宇宙に戻ってくると、ああ、とてもあの広大な大地ではわたしは負けてしまうから生きてゆけないのだわ、などと思えてくるのであります。
オーチャードで井上道義、自作「鏡の眼」とマーラー9番を聴いたが、そもそも井上とマーラーは相克できるのかと考えるまでもなくちょっと土俵が違う感じ。自作の、すぐに美味しいところを飽きさせずにつなげただけの出来に、井上の弱点ばかりが反映しているようにしか聴こえなかった。これはちょっとレビューするのは無理ですう。
部屋で夜更かし。度肝を抜いたのは現代音楽のサルヴァトーレ・シャリアーノのオーケストラワークス3枚組。こんなに耳に鮮やかなのはペルト、シュニトケ、グバイドゥーリナに遭遇した以来のことだ。現代音楽のCDでこんなに没頭できるのは『射干玉(ぬばたま) ── 小山薫の世界[作品選集]■』以来だし・・・。昨年は震災で流れたコンポージアム2011でのシャリアーノ公演■が今年行われ、わたしは母の看病で行かれなかったが、聴きたかったなあ。完全に音響を意識しているまさにコンテンポラリーなオケ表現だ。骨格も、表現の明晰さもなかなかのものだ。
29日に行った「益子博之多田雅範四谷音盤茶会4」に関連して、そこで発表した現代ジャズベスト2011をJazz Tokyoに投稿した。益子さんのブログ「うたかたの日々」で言及されたアルゼンチン(!)の音楽サイト「El Intruso」のミュージシャン投票がじつにこれまでの益子さんセレクトに合致しており、「我々のリスティングも捨てたものではないことがわかる■」(益子)、「彼らの耳の確かさを世界水準で立証するものとなっている■」(福島恵一)と。なんだかこうなってくると、映画スタンドバイミーの彼らのような、益子福島原田福地多田は秘密基地喫茶茶会記に集まって世界をつかんでいるような気持ちになるではないか。いやあ、忘れ難い時期を過ごしているかもしれないなあ。
いけね、2月はまだ仕事に出てないのだった。明日から17連続夜勤をして、がんばらなければ。
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