Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年06月12日(土) |
実験音楽とジャズ-2@四谷いーぐる 感想 |
今日は「四谷いーぐる」と「サントリーホール」をハシゴした。
実験音楽とジャズ-2 『"ジャズ耳"の存在を浮かび上がらせる"即興演奏"』 前回■に引き続き柴俊一さんによる解説・選曲。 かけたトラックは7つ。ざざっと感想。
John Cage "Concert for Piano and Orchestra" 前回ひどく退屈で苦痛ですらあったヴァージョンを復習の意味で5分ほどかける。・・・あれ?あれれ?これこないだの音源ですか?というくらい、良く、聴こえる。・・・明らかに前回と違うでしょう・・・と、心で叫ぶが。いきなり混乱してしまう。
John Cage "Concert for Piano and Orchestra" Merce Cunningham, conductor / David Tudor, piano 初演に近いヴァージョンとのこと。1958年、NYタウンホールでの録音。アメリカのフリージャズをわざととりとめなく演奏させたように聴こえた。なんかフリージャズの理にかなっている度数が高い演奏で、その理にかなっている感じととりとめのなさが、通俗的で凡庸で退屈に聴こえる。ライブ音源のようで、途中に観客がもうやめろ!と拍手喝采してみたり、騒いでいる模様が聴こえる。初演の評価はさんざんだったらしいから、そのとおりの証言のよう。
Cornelius Cardew "Treatise" ぐうう。カーデューの図形楽譜のかたちを借りた、意思統一された名人芸の構成!配置されるノイズの音色/意匠もかっこいい。ピアノはだれなの?93年の録音というから、最近の演奏だ。ジム・オルークも参加とか。今日、一番のトラックだ。
Gruppo di Improvisazione Noueva Consonanza "Musica su Schemi" エンニオ・モリコーネが在籍していたことでも知られるイタリアのグルッポ・ディ・インプロヴィサツィオーネ・ヌオーヴァ・コンソナンツァ。なんかイタリアっぽく感じるなー、とは思った。
Mauricio Kagel "Exotica" ふうん。ミシェル・ポルタルも若気の至り、それなりにまじめに。えせフォーク、捏造の歓び、または風刺。だから?という演奏。
David Tudor and Takehisa Kosugi "Rainforest version 1" 電子音響での即興演奏。挿入される工業的ノイズはそれなりに楽しい。
Hexameron "improvisation n 1" これは作曲家ジェルジ・クルターク(現代の重要な作曲家)がピアノで、企画として即興させた珍盤。
どのトラックも、歴史というか、演奏者がそのように演奏しようと万全を尽くしていることがわかるという意味でも、強度を感じさせる演奏に違いなく、最後のトラックの腰の引け具合もまた企画物らしいのが手触りで感得できた。
それで、聴いてこれは!と感動できたトラックはカーデューの作品で、いちばん別格で良かった。それは演奏者の到達している現代性においてすばらしいのであった。ということであれば、古びた現代音楽もまた演奏によって現代性を保持し継承できるものである、ことか、と、それはそれで新しい発見に思えた。
Cornelius Cardew "Treatise" 今日かかったのはハットハットレコーズの現代音楽を扱うシリーズhat[now]ARTのカタログ122番(売り切れ)のようだ。 ここに裏ジャケ表示があります>■ 大友良英、キース・ロウのみなさんも演っているようだ■ ソニック・ユースも演っていたのですねー! 最近他の演奏家でCDになったものがJazz Tokyoで渡邊未帆さんがレビューしていたのですね>■
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