Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
DiaryINDEXpastwill


2009年05月01日(金) マリア・ジョアン・ピリスを聴きにトリフォニーへ。



「あっ・・・」、プログラムの前半、ピアノ協奏曲第2番の第2楽章、森の中を進むようだった音楽が、突如、無重力状態の透明な空間にコンサート会場が浮かんでいるものに変貌した。

ピリスが左手をピアノに確かめるように置いて、右手で弾いたひととき・・・。

数十秒のことだったのか。人生に何度も起こらないような体験だけど、そのような瞬間が訪れることがあることを知っているからわたしたちはコンサート会場に足を運ぶ、いや、そんなことは起こらないのだ、起こらなくても時々その片鱗に触れたり思い出したりできれば毎日それなりにやってゆける。ピリスにベートーヴェンは合わないだろ!と勝手に思って会場に来ていたおれ。森の中を進むようだったのは、「ピリス流ベートーヴェン」である、と、その具合のあり様を、さすがだ、見事だ、と、いちいち納得しながら、だが、と、だが、なぜピリスはベートーヴェンを弾く?、ピリスとベートーヴェンの感性の相関関係をやはりどこかでしっくりいかないな、と、あごに手を置いて首をかしげている自分もいる、そこには、やはり、ピリスの格闘があったのだろう。合わないから、やらない、のではない、自分とベートーヴェンの取り込む取り組み。それは、森の中を進むような音楽だった。

ピアノ協奏曲第2番第2楽章が序章だったとは。

前半の2曲目は若きチェロ奏者の登場でシューマン『チェロ協奏曲』。無難な演奏だけどピリスの夜には荷が重いだろう、とはいえ、聴きどころは、この高関健指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団がじつに好調であることを浮かび上がらせる耳の焦点の動的な拡がりといった体験なのであり。

やっぱ、クラシックはライブに限るぜ。

20分の休憩。



(メモ)


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

My追加