Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2007年10月28日(日) |
四方田犬彦著 『月島物語 ふたたび』 |
『もうひとりの天使―ノスタルジアと蒐集をめぐる48の省察』河出書房新社(1988年)
四方田犬彦との出会いだった。タイトルだけでごはん3杯おかわりできるです。
ECM好きなれば、ブルーノ・ガンツがヘルダーリンの詩を朗読した『Hölderlin - Gedichte gelesen von Bruno Ganz』(ECM1285)、が、脚注にあるだけで、もう、ありがとうございます、という気持ち。 もちろんブルーノ・ガンツは、ブームになった映画『ベルリン・天使の詩』(1987)で天使をしていたおっさんであり、また、映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004)でヒトラーをしていたやつ、でもあり。おれなんか、ECMの精神性を、「アウシュビッツの行為者としてのドイツ人の戦後」だと捉えていたわけだから、そんな露骨に符合するなよ、という気持ち。(ちなみにウインダムヒルを端に発するヒーリング/ニューエイジなる音楽の精神性は、「米国のサイケデリック/ヒッピーのなれのはて」と捉えていた。) この作品が発足したてのECMニューシリーズの数枚目で登場したとき(1985年)は、これはすごいことになると手にあせ。どきどき。
また、楳図かずおのマンガ『わたしは真悟』、に、対する四方田さんの論考も、ぼくの子どもに対する意識を決定付けた重要なもの。
オーソン・ウェルズの映画の・・・何だったけ。たしか「バラのつぼみ」と発音して亡くなったシーンの意味についての考察も、心に残る。
・・・そんなことを書いていたら、読みたくなった。このジャングルのような部屋のどこのダンボールに隠れているのだろう。・・・
四方田さんの『月島物語』。滞在記というのか、紀行文というのか、月島に住んでいる気持ちを追体験する名作。20年ちかくたって、増補版となって工作社から出ていた。■
ぼくたちのまわりの町並みや暮らしの風景は消えてゆく。 残酷なくらいに消えてゆく。 そしてぼくたちの記憶も残らない。ぼくも、誰からも、子どもたちからも、忘れ去られてゆく。 だけど、芸術は残る可能性がある。芸術について、書きたくなるのは、そういうことだと思う。
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