知人が亡くなった。国内盤になったばかりの『タブラ・ラサ』を彼のリスニングルームで聴いたことを憶えている。日本刀をながめたり、小林秀雄の本を読んだりした。彼の息子が中学生のとき、ぼくは『ノーザン・ソングス』をプレゼントした。このCDを特別に気に入ってくれていたことをずいぶん後になって人づてにきいた。その息子も父親と同じ精神科医になった。