Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年05月31日(月) 死のプログラム 

年間に3万2千人の自殺者がいて、その数は増え続けている、という。

注意一秒、怪我一生、という標語がある。不注意により交通事故を起こし、被害者に重い障害を負わせてしまい、一生をかけて償うにも償いきれない、という人生を歩むひともいる。たくさん、いる。

たまたまブルジョアの家系に生まれてそれなりに誠実に生きたものの、ある時に広場に連れ出されてギロチンで首を刎ねられてしまったひと。

うちの近くのノラ猫が駐車場にあった車両のエンジンに入り込んだらしく、半身が焼け爛れて数日間鳴いていたことがあった。片目が腐敗しハエがたかっており、ある晴れた日にぼくの部屋のベランダのコンクリートの上で日なたぼっこをするように衰弱してたたずんでいた。痛みも感じなくなったものか、焼けていないほうの目を細めて途切れがちな呼吸をしていた。
ぼくは死期が近いことを憐れみ、ホッケを焼いて食べさせた。牛乳も口にふくませた。グルグルと唸るようにその猫は食べた。そして数分経つと、前足を痙攣させて動こうとし始めた。そして、驚くほどの悲痛な鳴き声をあげて、全身でもがきはじめたのである。
わたしが理解したのは。その猫は死に向かう身体的プログラムの途上にあって、神経が感応しないようになっており、意識も徐々に死に向かいつつあった、ということである。わたしが施した行為は、その猫にとっては残酷な仕打ちだった。

昭和天皇の最期の日々を想起しないわけにはいかない。ニュースが下血状況を伝えていた日々、昭和天皇の身体は、新鮮な血液の恒常的な輸血を受け、死への身体的プログラミングを作動させることができずに、終わりのないような苛烈な苦しみを強いられていたのではないか。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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