3月11日金曜日朝、 東京地方裁判所がライブドア側の申し立てを認め、新株予約権発行を差し止める決定。
・ニッポン放送の「企業価値を高めることが新株予約権発行の目的」という主張に対し、 ・東京地裁は「フジサンケイグループの経営陣による支配権の維持を目的としている。 商法が禁じている、著しく不公正な方法による新株発行に当たる」と。
・ニッポン放送の「ライブドアが支配権を持つことでニッポン放送の企業価値を 大幅に棄損する」という主張に対しては、 ・東京地裁は「ニッポン放送は売上高1位のラジオ局。高い知名度があり、 フジサンケイグループから離脱してもブランドイメージが傷つくとは言えない」と。 さらに東京地裁は「時間外取引など、ライブドアが行った一連の行為は 少なくとも証券取引法違反ではない」と。
号外まで出てしまっているし … メディアも世間も騒ぎすぎじゃないの?…とも思いますが、 ウゥ〜ン、でも、ますます面白くなってきましたねぇ。 面白い…という言い方は、いささか語弊がある表現かも知れませんネ。 当のご本人たちは真剣勝負なのでしょうから…。 でも、非常に興味深い。 色々な方面へのカンフル剤として面白い。
だって、今回のことで普段は株の売買に さして興味の無い(私のような)人間までも、 関心を持ったでしょう? ライブドアとフジの言い分について、どちらの言い分が正しいのか? どちらを心情的に応援するか? 今後のメディアはどうなるのか? …と、多くの人が考えているでしょう? 世の中に大きな一石を投じたという意味で、とても大きな効果が有ったと思いますヨ。 まぁ、堀江さん流の言い方をすれば、 「そんな効果を狙ってやったわけではない」と仰るのでしょうが…。 「先駆者(パイオニア)は常に捨石」とならぬよう、頑張って欲しいとは思いますが … 。 結果として、そういうプラス効果を生んだということも見失いたくは無いですねぇ。
ニッポン放送社長の「社員の気持ちが否定されて残念」とか、「粛々と対応」とか、 善人ぶった、人情沙汰に訴えるような言い方は、何だかムカつきますよね?! ビジネスライクに話して欲しい。 立場が弱くなったら、急に人情を持ち出してくる … そういう姑息な手段が許せない。 私は、別にどちらの見方もしていないけれど、フジサンケイグループは大きななりして 手段がセコい。 もっと、懐の大きなところを見せてくれよぉ … と思います。
東京地裁決定を受けての堀江社長のコメントの中で 「良い作品、良いコンテンツを、これまで以上にお金も掛けて作っていきたい。 まるで私が“コストカッター”で、制作の予算をカットするとか、 そういう風に書かれている場合もありますが、そうではなくて、 むしろ私は制作の現場ではもっとお金を使って、 ハリウッドにも負けないようなコンテンツを作れるグループにしていきたいと 切に願っております」 という言葉がありました。
新しい、より良いものを作っていきたいと思っているクリエイターであれば、 この言葉には少なからずグッときたのではないかと思うのですが、どうでしょうか?!
会社の支配力ばかりを守ろうとすることと、より内容をグレードアップし、ビジネスとしても成立させようという動き … これは、この裁判だけの問題ではないので、そう簡単に結論の出る問題ではないでしょうね。
フジ以外の各局は他人事だと思って、面白おかしく騒ぎ立てているという感も有り、 「他山の石以(もつ)て玉(たま)を攻(おさ)むべし」となってくれると意味があると思うのですが…。
そんな様々なニュースやワイドショーの中で、素人の私にとって重要な指針となったのが、民放のワイドショーなどでコメントを出していらっしゃる河上和雄弁護士の発言ですねぇ。 分かりやすく説明して下さるので助かります。
今回の決定を下した東京地裁・民事8部に配属されている裁判官は商法・商事関係に強い精鋭揃いだそうで、今回の最大の争点についても 「お山の大将でフジTVがずっとニッポン放送を牛耳っていたい。結局、はっきりとしたお金の使い道が無いのにもかかわらず、新株予約権を沢山発行して、結果としてはニッポン放送に対するフジTVの経営権・支配権を維持しようとしているのだ。それは一般の株主の利益はみな侵害されてしまうわけです。そういうやり方というのは不公平だというのが裁判所の考えです」、
「第三者発行をしてライブドアの影響力を排除したいと考えた新株予約権多量発行という手段だが、これは余りにも単純過ぎるやり方で、理屈は色々とつけてはいるが、極めて弱い。前の成功体験(11年前の鹿内一族排除)があるので、今回も同じ手段をとったが巧く行かなかった」と。
ニッポン放送の企業価値についても、「例えば、ライブドアが入ってきたら野球放送が出来なくなるというけれど、それはニッポン放送という会社自体が契約しているものだから、株主が変わったからと言って放送できなくなることは無い」、さらに「1つ1つ(関連)会社を検討していっても、損害を受けるものではない、また、それを証明出来ていない … という理由からニッポン放送の主張は通らないということになる」と、明確な説明をしてくださって、目の前の霧が晴れるようにスッキリします。
過去の事例を考えると 高裁での逆転が懸念されますが、商事の問題なので、それが民事8部の判断を覆すことは無いだろうという意見が有力なのかしら?
河上弁護士の 「この事件を契機に、企業買収に関するいろいろな法制度が整備される。 世間の意識が高まった。 あるいは政治家の意識も高まった。 経済界の意識も高まった。 そういうところの大きな意味が有るといっていい」 という言葉に大きく頷きました。 政治家の意識が高まったかどうかは???ですが。
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