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2014年06月26日(木)
赤い屋根にて、村下考蔵「歌人撰集」を聴きながら














毘沙門台の赤い屋根にて。久しぶりに行きたくなって、平日休みが久々にあったので、車を走らせました。店の外から、村下考蔵さんの歌声が流れていた。あぁ、赤い屋根らしいと感じつつ。店に入ると、いつものように、店主の女性が、「おひさしぶりです」と、暖かく迎え入れてくださった。夏に来るといつも注文する、アイスコーヒーを銅製のグラスに注いでいただいて・・・

村下さんの大ファンのお客さんが、ちょうどきょう発売になった、ベストアルバム「歌人撰集」を、店主の女性に真っ先に聞かせたくて、持ってこられたそうで、それが流れていた。そのアルバムには、奇跡的に発見された「初恋」のデモテープがボーナストラックとして入っている。そのお客さんと店主さんが、ぜひ聞いてみてくださいと・・・そう、初稿のデモテープでは、歌詞がほぼ違っていた!!これには本当にびっくりしました。
僕らが知っている「初恋」より、言葉がもっとストレートで、村下さんのこの曲が生まれた瞬間の繊細なこころが詩になって存在していたわけです。そこから村下さんの思い出話を、ゆっくりと、お客さんから伺って、僕は真剣に、店主さんは静かにおおらかに聞いて、長い時間過ぎていきました。

お客さんにとっては、村下さんの曲で命を救われた、そしていろんな人生の節目で運命のようにかかわっている・・・そんな村下さんとご自身の思い出話を重ね合わせながら、店内に流れる村下さんの歌声とともに、ずっと聞かせていただき、わたし、つい大粒の涙流してしまった・・・

あぁ、きょう、この時間に、赤い屋根にふらっと訪れて、偶然にこういう貴重な時間を過ごすことができたことも、僕にとっては、なにか運命的な、導かれるものがあったのかもしれません。ここのところ、ふと、忘れかけていた「おおらかさ」「人の温かさ」を再認識させられたように思います。

お客さんから、村下さんとお話ししたときのことや、楽曲に隠されている秘話とかこだわり、あぁ、あの曲のあの言葉は、広島のあの場所、あのものがモデルだったんだ・・・というのもいろいろ教えていただきました。

「林檎と檸檬」というアルバムタイトルは、赤い屋根のミックスジュースに入っている2つからだったり、村下さんの楽曲に、白と紫の花がよく登場するのは、赤い屋根に長年ずっと白と紫の花が置かれていたからだとか。赤い屋根が、村下さんにとって、大切な場所だったことを認識するエピソードも教えていただきました。

まぁ、わたしは村下さんの楽曲は、数枚のベストアルバムの中の限りでしか知らない若輩者ですが、改めて、オリジナルアルバムから丁寧に聞いてみたい、そう感じました。

お客さんは、このアルバムに、「北斗七星」(赤い屋根が舞台の曲・歌詞にも赤い屋根が何度も登場する)の初稿デモテープが入っていなかったのをとても残念がっていました。もし入っていたら、赤い屋根の店主さんにアルバムプレゼントするつもりだったそうです。今回発見された初恋のデモテープと同じく、倉庫のどこかに眠っているはずなのだそうで、いつか、北斗七星の初稿デモテープがCD化されたら、私もぜひぜひ聞いてみたいな。
最初作られた詩には、赤い屋根での2人を、どんな言葉で描いていたのだろう、赤い屋根から見える広島都心の光景は、どんな言葉で表現されてたのだろうか・・・



コバルト

広島在住
文筆とカメラとここちよい暮らしが好き
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