朝ドラ「カーネーション」は歴史に残る作品になるかも
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ひょっとすると、歴史に残るドラマになるかも・・・
朝の連続テレビ小説「カーネーション」がスタートしてから1か月。 いまのところ、120%完璧なドラマだと言っていい。 秀逸で無駄が全くない、テンポよい納得の脚本、時代考証は完璧、細部までこだわりにこだわったセット、たくさんのロケ、すばらしいキャスト、演技力、そして泣けて笑えて・・・
糸子を演じる、尾野真千子さんの演技力はやはりすごい。もう糸子に乗り移ってて、糸子にしかみえない。父親役の小林薫さんも、荒々しさと悲哀を感じさせる演技は素晴らしい。ちょっと天然ボケが魅力の母親役の麻生祐未さんも、素敵ですし。とにかく、あらゆる登場人物、エキストラまでが、血が通っている。生きている。人間味があふれている。その人にしか見えない。無駄な登場人物が一切ない。ちょっと出てくる役者さんでも、すごく印象的で、みんな気になってしまう。
脚本も素晴らしい。無駄が全くなく、いくつかの伏線が、すべて納得できるものであり、巧みに展開している。 ちょっとお遊び的な要素も、さりげなく入れたり。(小泉孝太郎さん演じる歌舞伎役者の春太郎が、心斎橋のカフェで、まったく関係ないシーンなのに、奥の席でほかの女と逢っているのが、遠くで小さく映っていたり、糸子と、國村隼さん演じる、心斎橋百貨店の支配人との、まるで漫才のような掛け合いとか、糸子の声が思わず裏返ったり、神戸箱の中身のへんてこな土産物だったり)
糸子は、だんじりのように破天荒であるけれど、真剣に一途にミシン、洋服づくりにひたむきに駆け抜ける姿に視聴者は元気づけられ、そして糸子の本当の涙は、見てる人をも涙させる力を持っている。さりげない笑いのセンスも持っている。なにより、本音で突き進んでいるから、みていて気持ちよい。きれいごとという文字はないですもの。
それぞれの登場人物のセリフ、毎回、なにか、僕たちに人生訓となるような素晴らしい言葉を発している気もする。
財前直見さん演じるモガのミシンの先生と、糸子の別れのシーンなんか、映画のワンシーンみたいに、美しく素晴らしいシーンだった。糸子がはじめて洋服を着て、街を歩くシーンは、本当に初々しいし。
セットも、とにかく細かいところまできちんと作り上げられている。みえないような小道具から、ほんのちょっと映るだけのポスター、女性誌、広告、消しゴムのカスなんかまで、細かいものすべて、当時のものを忠実に再現され、繊細なことまでストーリーに必要なら妥協せず用意する、きちんと丁寧に作られてる。膨大なエキストラさんのそれぞれの洋服も、本当に考えられている。朝、夕の陽の光の加減もきちんと再現して、まったくセットというのを忘れさせてくれる。そこに本当の世界があるような錯覚を覚える。リアリティを追求されている
ロケの数も半端じゃない。百貨店のシーンも、当時のデパートをきちんと再現していて、奥行きのあるカメラワークにうならされた。(大阪のどこかのデパートで実際ロケしているのでしょうけれど)
つまり、同じ回を、2回みて、3回見ると、よりいろんなことに気づかされる、楽しめる作品だと思います。こんなところに、こんなものまでこだわっていたのかとか、キャストのこういう思いが意味がセリフに込められてたんだとか。1回見ただけでは気づかないことがあるから。そして、2回、3回みても泣ける、笑える
映画を超えたクオリティーがある。
大ファンの椎名林檎嬢のテーマソング、これも、昭和初期の雰囲気ただようワルツのようなせつない旋律と、林檎嬢の歌声が合わさって、いいんですよね。
と、この1か月のカーネーションでいえば、文句ない。
帰宅して、楽しみに見ています。
このまま、あと5か月、突っ走ってほしいものです。
ま、最終回までみないと、わかりませんけれどね。ほんと。
前作のように、途中からは、どうでもいいエピソードを無理やりたくさん作って、つなぎあわせただけの、同じスタジオセットの中だけでしか展開しない、まるで学生の学芸会のような作品になってしまわないように・・・
このドラマの脚本を手がけた渡辺あやさんといえば、 「ジョゼと虎と魚たち」「火の魚」「その街のこども」・・・ どれも印象的な作品ですが、僕は特に「その街のこども」は、いまでもほかにない、実験的な、秀逸なドラマだと思ってます。
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