中村屋中区の堺町にある、老舗の喫茶店。ジャズ・クラシック好きが集まる。昭和32年製・ラッキー社の大きな焙煎機が、いまも現役で、こだわりの豆を焙煎している。ここは、どこか格調ある雰囲気。高い天井にシャンデリア、ぐるりと2階のテラスが囲む暗い店内。どこか西洋の教会・いや、城の中のようなモダンな空間。こここそ、隠れ家的で、上品に落ち着ける場所のように思います。朝に来たかった。モーニングをいただきに。そこにも、こだわりが。最初に銀のプレートに載せられた、熱々のおしぼりが出てきた。モーニング・・・トーストのパンはとても甘みがあり非常に美味しい。おそらくどこかの名店で焼かれたパンだろうということがすぐわかる。コーヒーは深い苦味。香りもいい。カップには、もちろん英字で中村屋の文字。カップやソーサーの一つに至るまで妥協はない。なみなみと注がれたそのコーヒーの味は、ふっと飲みたくなる。ゆで卵は、非常にあつあつで、とてもおいしい。果物はバナナカットといちご。半地下にあたる1階は、30席余り。すべてがふんわりとした椅子。2基のシャンデリアの大きさには圧倒される。店内を流れる音楽はジャズ。1階とは壁で仕切られているが、洋風の木枠の窓が取り付けられている。1階のテーブルに座った人は、窓から半地下の席を見下ろす感じになる。高い天井を囲むような2階のテラス。ここには椅子が置いてある。すなわち、ここでコンサートが開かれるときは、観客席になるのです。半地下のもっとも奥には、グランドピアノが置かれている。そう、ここはクラシックやジャズのライブやコンサートがよく催される場所でもある。蝶ネクタイ姿の店主さんは、常連だろうお客さんに、いま開かれている写真展などの案内を詳しくしていた。こうした音楽や写真、演劇などの催しのチラシやポスターが入り口付近の壁にたくさん掲示されている。私は、朝刊をぼんやり読みながら、ゆっくりいただいた。不思議なことに、常連であろう人は、半地下の広い空間ではなく、1階の細長い空間のテーブル席に腰をかけ、思い思いに新聞や本を読んだりしている。だから、いつもこちらのほうが埋まっている。半地下の広い空間、僕以外には、だれもおらず。あとから、若い女性が2人訪れて、半地下の置くのテーブルに座って談笑していた。この暗い店内、各テーブルには、上品なランプが灯されている。つまり自分の座る席のテーブルがもっとも明るい。お昼前が近づいた。若い店員さんが、各席に、ひとつひとつ、しょう油差しとソース差しを置いて回った。ランチ用だろう。毎日、常に新しいしょう油差し・ソース差しをすべてのテーブルに置くところが、このお店の行き届いた精神の一つのように感じるのです。たまにふっと行きたくなる、飲みたくなるお店。自分をささやかでも外の世界から遮断して、静かな別世界に身を置くための貴重な場所。 メール|Twitter 前日の日記へ|月別日記リスト|過去の日記リスト |次の日の日記| コバルト 広島在住 文筆とカメラとここちよい暮らしが好き ホームページ⇒http://www.geocities.jp/cobaltblue21jp/ 文筆依頼、感想などは、メールでよろしくお願いします メール⇒こちら My追加
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