乙女の東京 甲斐みのり著/京都のこころAtoZ 木村衣有子 著
|
乙女の東京 甲斐みのり 著 (マーブルトロン)
東京を案内する本として、とても素敵なやさしい本だと。 少女時代、あこがれた東京の街。大人になったいま、その東京をロマンチックに感じ取り、やさしい、うれしい、たのしい、ときどき切ない。そんな情景を引き出しています。
東京デート、紳士と歩く東京、女友達と歩く東京・・・ 憧れの東京いろいろでは、喫茶店も11店、そのほか食事、ホテル、美術館、博物館など紹介。乙女の東京カタログでは、美しい、東京の洋菓子、和菓子、文房具、おみやげ、日用品、行き着くところは、デパートのバック・包装紙まで・・・たくさん紹介。どれも東京の香りを感じる、歴史と都会的なセンスのよさ。訪れる場所も、洋館だったり、大正・昭和を感じさせるロマンチックな場所。浅草観音温泉や、多摩ゆうえんちまで。
喫茶店の章、「ロジーナ茶房」「ボア」「名曲喫茶ライオン」など、僕でも知っているお店がきちんと取り上げられているのがうれしい。おそらく、甲斐さんも東郷青児の絵が好きなのだろうな。(東郷青児美術館も紹介されてたもの)
さらに、東京を知るための、「乙女書籍・雑誌」「乙女歌謡」「乙女映画」まで。
コラムは特に共感する。 「乗り物に揺られてノスタルジックな東京を探す」「マッチコレクション」どれも、私と似ている。乗り物大好きだし、マッチも箱一杯集めている。その乗り物、マッチ箱ひとつひとつに、歴史と美しさと、ドラマが詰まっている。
いろんな角度から女性的に、東京という街を捉えている。その文章はとてもやさしい。
甲斐さんの著書は何冊か読んだことあるし、カメラ雑誌にも、時折登場されている。僕より3つ年下なのだが、街、暮らし、あらゆるものを、やさしく受け入れて、もっともっと感じ取っている彼女の感覚が、ひとことでいえば、非常に「ここちいい」のです。
ちなみに、この本の表紙は、洋菓子の章で、バタークリームで作られた動物が乗っているザッパトルテや、格子模様のケーキ「ダミエ」が紹介されている、洋菓子店「マッターホルン」の包装紙です。
文章以上に、その1枚1枚の写真も、やさしい世界を切り取っている。おなじ街・東京を撮影するにも、彼女のようなセンスがあれば、もっと街のやさしさ、楽しさを、ストーリー的に感じ取れると思います
ちなみに、この本のサブタイトルがとても長い
「洋菓子・和菓子店、ホテル・旅館、美術館・博物館、雑貨・化粧品・・・乙女心の東京案内」
この本の内容、わかりますよね
京都のこころAtoZ 〜舞妓さんから喫茶店まで〜 木村衣有子 著 (ポプラ社)
「乙女の東京」とまったく同じ世界で書かれた、京都の本。木村さんといえば、「京都カフェ案内」「東京カフェ案内」でおなじみだし、京都に8年間住み、あの、「喫茶ソワレ」でアルバイトしてたという部分でも、やはり気になる。ちなみに、木村さんは、「文筆家」という肩書き、それに「ときどき書店員」というのを加えている。カフェ・街・書店が好きというのも、どこか共感してしまうのです。365日欠かさず本屋へ訪れているそうだ。
京都をアルファベット順に紹介している。 Aはアート=「京都芸術センター」Bはブック=「恵文社一乗寺店」の本棚、ZはZEN=「重森三玲の庭」まで。神社の御守から本屋、カフェ、旅館の石鹸、おみやげまで。そのチョイスには脱帽です。
こちらも、もちろん東郷青児の記述が。そう、「喫茶ソワレ」 そのページに、ソワレの香蘭社製の瑠璃色の珈琲カップ・ソーサの写真が載っている。その瑠璃色の美しさ、金色に描かれた、東郷さんの女性の絵に目を奪われる。このお店の独特の青い照明は、女性を美しく見せる色だから、色彩論に基づいた理論からなのだそう。なるほど。
このカップ、とてもほしい・・・
木村さんも、私より2つ年下。そして、LOVEカメラなどでも、登場されたりする。カメラがすき、文章を書くのがすき、街が好き、物がすき。甲斐さんにしても、木村さんにしても、撮影された写真を見て、とても参考になります。
僕も、同じ世界観で、文筆して、写真を添えて、出版してみたいものです。広島の街をテーマに・・・じゃ難しいかな。(いちおう、コンシェルジュブログって、意識しながら書いているのだけれどね)
スマート珈琲店、ソワレ、進々堂・・・彼女がこの本で取り上げている喫茶店は、きっと京都のなかでも、至極の場所なのだろう。必ず訪れなくては
東京へ行くとき、京都へ行くとき、 この2冊は、なからず持参しなくては!!うん。
街をいろんな角度から楽しむ、感じ取る、歩く そして、写真におさめ、味や物を頂き、文章にしたためるという作業は、なにより楽しいし、生活をより豊かにするような気がします。
せっかくこの街で暮らしている、訪れているのです。 精一杯、感じ取らなくては、もったいないですものね
|