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2008年06月16日(月)
食堂かたつむり  小川糸 著










生きることがいとおしく思える作品・・・


「食堂かたつむり」小川糸 著

なにもかもを失い、声までも失った25歳の倫子は、10年ぶりに、山おくの故郷へ向う。私には料理しかないという思い、失意の中、実家で小さな食堂を開く・・・そして、料理を食べた人が、ひとりひとり幸せになっていくという奇跡が起きていく。

でも、僕は「食堂かたつむり」を読み終わって、人生の現実って、辛いこと、汚いこともたくさんある。そういう面もしっかり描かれている作品という印象を受けた。もちろん、ベースは、あのかわいい「食堂かたつむり」の世界なのだけれど。物語の後半は、不幸な展開へと進んでいくのだが

食堂かたつむりの、やさしい色合い、シャンデリアや食器、手作りのソファーベット、テーブルなど、店内のやさしいイメージがとても膨らむ。そして、食べた人を幸せにする不思議な数々の料理・・・倫子は、こころから、食材に感謝し、人に料理を作ること、喜んでもらうこと、やさしい気持ちになってもること、料理で幸せになってもらいたいということに生きがいを感じている。真摯に丁寧に生きていこうとしている。その姿が印象的です。

(かもめ食堂や、アメリを彷彿とさせる世界観だなぁって、ふと想った)

この作品、いろんな料理が出てくる。お客さんと面接して、お客さんにぴったりのメニューを心を込めて作る。その工程も、詳しく書かれていて、なだかこの本でいろんな料理が実際つくれそうな感じです。

この本を読んだ方に、質問!
・倫子の作った料理、どれが一番食べてみたい?
・物語の後半、号泣しました?

僕は・・・
モンブランケーキが一番食べてみたい!
ザクロカレーの味も気になるけれどね
物語の最後、泣いちゃいましたよ・・・




4月、「王様のブランチ」のブックコーナーで、小川糸さんのインタビューを、僕は見ました。

本当に、物語に出てくる倫子と、小川糸さんが、同一人物じゃって思えるくらい、やさしい、おだやかでゆったりとした雰囲気は、とてもよく重なる。(糸さんは、色白でとてもお綺麗な方なので、僕と同じ年には見えないのも、倫子と重なる要因なのだろう)

糸さんも、料理が大好きで、「食堂かたつむり」に出てきた料理は、実際食べたり、作ったりしたそうだ。

番組では、物語に出てきた「ジュデームスープ」(高校生の女の子の恋をかなえた)を作ってくれた。このレシピ、とにかくたくさんの野菜を入れている。そしておいしそうだった♪これで、「恋が成就する」はず。なんだか、夢がありますよね。そう、物語に出てくる料理、ひとつひとつに、夢があるんですよね。


文体がとても簡潔で、読みやすいのもある。
ただ、本当に料理について、解説書のごとく詳しく描写されている印象もつよかったです。

生きることがいとおしく感じる
そういう1冊です。


勝手な思いだけれど、食堂かたつむり、映画化されたら、きっと大きなブームになるだろうな。



コバルト

広島在住
文筆とカメラとここちよい暮らしが好き
ホームページ⇒http://www.geocities.jp/cobaltblue21jp/

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