Land of Riches
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2024年10月18日(金) |
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和田雅成さんの良き友人であり、舞台のプロデュースも手掛けている宮下貴浩さんと 昨年の演劇ドラフトグランプリで初参戦優勝した私オムさんが2018年から毎年 ライフワークとして手掛けている通称「宮オム」。二人ともルビーパレードに入り、 ついに和田さんが主演として迎えられることになりました。シアターサンモールは 客席が300くらいしかないのに、和田さんと武子さんで埋められないのか…と 思いながらC列(ステージがせり出しているため2列目)で観劇しました。
事前に公開されていたあらすじは「月よ、見よ。」の1文だけでしたが、 泥にまみれているメインビジュアル以外に白衣を着たアナザービジュアルが公開され、 主人公の名前「津久井」が偽名なのも先に発表されていたので、主人公が医療ミスで 人を殺してしまった物語なのは予想がついていましたけど、蓋を開けたら男女の恋愛でした。 昨今はLGBTQだのよく言われるため、ストレートな男女恋愛って逆に新鮮味があります。 (私オムさんが脚本で和田さんが出演する新しいドラマ、これもあらすじ未発表ですが、 笹森さんと並んでいるメインビジュアルを見る限りではBLっぽくて今時だなと)
大企業の令嬢姉妹。姉・一葉は急死した父の跡を継ぎ、妹・二葉は肺の重病に倒れます。 家に窮屈さを感じていた二葉は幼馴染や担当医(=主人公・稲垣)に対し ワガママを爆発。担当医とはいろいろあった末に両想いとなり、誰かに愛された 高揚感の中で最期を迎えたいという強い希望に押され、津久井は頼まれた通り 呼吸器を止めました。作中でも説明されていた通り、延命治療を施さないのは 問題ありませんが、呼吸器を止めるのは犯罪です。抱えきれなくなった稲垣は 名前も身分も捨て田舎で農業を始めます。何も知らない都会人の津久井に、周囲の農家は 距離感の取り方に苦戦しつつも情深く接していきます。新しい恋も生まれました。
そんな中、妹の死の真相を知りたいと一葉は妹の幼馴染・池田星と移住希望の 夫婦を装って津久井を訪ねます。3人を死後も翻弄する天真爛漫な二葉。 それぞれが見る彼女の幻影が幾度となく舞台上に登場します。結局、二葉は 自分のワガママが周囲を困らせていたのを知り、津久井は津久井として 引き続き農業を続けていく(新しい恋も続くかもしれない)…というオチでした。
優しいお話だと和田さんは事前に語っていましたが、細やかな心理描写が 私オムさんの得意分野か…と思いながら見ていました。私オムさんは和田さんと 海に行って、「和田雅成がそこに存在していると違和感だなと感じました」と ボロボロにする宣言をしていたのですが、末満さんなど多くの監督・演出家によって 何度もボロボロにされてきた和田さんを見てきた身としては、私オムさんの 追い詰め方は想像よりずっと穏やかで、若干の拍子抜け感さえありました。 これは他の監督・演出家が躊躇なさすぎるだけなのですが…(苦笑)
和田さんがボロボロにされる演技が魅力的な役者なのは実感もしてますけど、 たまには明るい気持ちで見られる作品に出てほしいと強く思うこの頃なのでした。
2024.10.26 wrote
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