Land of Riches


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 2018年10月14日(日)   深層沈下 

両国に行ってきました。
とうらぶ実装刀の展示で江戸東京博物館には二度行ったことあるんですけど、
周囲は目立つ国技館含め、歩いた経験なかったので、初めての場所にたくさん行きました。

まずはおめあての刀剣博物館。参宮橋から両国公会堂跡に今年1月移転しました。
愛された公会堂の外見を引き継ぎながらも、さすがに旧館よりは広い建物だけあり、
展示の配置は3Fにゆったり。寄付者一覧に致道博物館の酒井館長(酒井家当主)や
ブレストシーブの社長(個人名と法人と財団それぞれで50口以上!)の名前もありました。

展示テーマは五ヶ伝とお国拵。参宮橋時代も、館の顔である明石国行
(両国駅の改札を出ると看板が出迎えるぐらい今も顔。この秋も京都から帰還して
すぐに展示に出されるnotニートぶり)を例外的に撮影可としていたらしいですが、
今回は刀身は全面的に撮影可能に。拵えも説明不足で外国人の方が撮ったりしてました。
注意なんて不可能な情けない英語力…。で、五ヶ伝の一つである相州伝の代表として
太鼓鐘貞宗が出されたので、その撮影がメイン目的でした。佐野美術館は撮影禁止でしたから。

鞘は勉強不足で、プライベート専用の貝殻で装飾されてるとか、
派手な朱塗りでもなければ、刀身と違って、ほぼ同じに見えます。
今回の出品物は黒塗りの地味が多くて。違いが分かるようになりたいですね。
三所物は、平和な時代になると絵画のような繊細な描写が増えると感じました。

刀身もパッと見てすぐ分かるのは備前伝(一文字派)くらい。
貞宗は彫りが分かり易いですね。それ以外の部分は正宗と似てるとは思いますが。
吉光の短刀も出てましたけど、物凄く研ぎ減りしてて細く、使い込まれた感が強烈。
かつての主達に愛されたからこそ研がれ痩せたのですが、現代の評価では
使われていない…それこそ明石のような刀が良いとされがちです。

太鼓鐘は、佐野美では周りに長い刀が多かったからか、ひどく小さい刀だと
思ったんですけれども、今回はそこまでの印象は受けませんでした。
それでもハバキ付近で膨らんでいたので、やはり研がれて痩せたのだと。
いつ見ても、短刀の間合いで戦う男士の勇気は凄すぎると尊敬の念を抱きます。

古刀なのに肌がとても綺麗な延吉と、凛としたたたずまいの分部志津が
印象に残りましたけど、どちらもしんけん!では実装されている刀でした。
結局、昔も今も良いとされる刀はあまり変わらないのだな、とも思いました(やや矛盾)

一度駅に戻り、観光案内所のパンフを見て横網町公園に戻りました。
この戻りだけでなく、刀剣博物館入館前にも旧安田庭園は通りましたよ。
現役の潮入庭園は浜離宮だけなのだとか。行ってみたくなりました。
(旧安田庭園は隅田川の汚染と隔離するために、人工池を用いた疑似潮入り)

刀剣博物館は屋上が解放されていて、庭園を見下ろすことができるんですが、
遠景として、立派な三重塔が見えます。それが横網町公園の東京都慰霊堂です。

大正時代、陸軍被服廠の跡地は公園として整備されることになりました。
関東大震災の日、まだ更地だったこの場所に、家財道具を背負ったり
荷車に積んだ避難民が集まりました。そこに襲い掛かってきたのは火災旋風。
関東大震災では燭台切が焼けたりと火の被害が大きかったのは知られていますが、
横網町公園は、最も多くの死者を記録したその公園予定地だったのです。

あまりに遺骸が多過ぎて、とりあえずその場で火葬措置したものの、
残った遺骨は3mもの山になったと言われています。それを納めるスポットとして
建設されたのが慰霊堂だったのです。無料で入れる復興記念館には、
熱でか風でか、ぐちゃぐちゃになった真っ黒な鉄骨などセンセーショナルな
遺留品が置かれていました。あと、当時の報道写真が煙を合成するなど
正確性を重視していなかった事実もちゃんと残されているのでした。

昭和に入り、先述の多過ぎる遺骸4万弱の更に倍ほどの犠牲者を出した
空襲による犠牲者も合祀され、資料も一緒にされ(防空壕で黒焦げになった
恐らく軍刀と思われる刀…審神者としては切なかったです)、結果として
何度も蘇った街TOKYOのメモリアルパークとなっているのが横網町公園でした。
最初はお参りするつもりなんか無かったのに、復興館の展示見たら
自然と足は慰霊堂に向き、用意されていた線香をあげていました。

公園が東京都の木である銀杏だらけで、独特のにおいを放つせいもあって
なんかどんよりした気持ちになって両国駅に戻り、角打ちの店に置かれた
日本酒自動販売機で1杯あおったところ、凄まじい頭痛に襲われたという
どうにもやるせない締めくくりとなった両国ウォーキングでした。ぐぬぬ。

2018.10.20 wrote


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