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 2017年03月12日(日)   命運 

twitterフォロワーさんと足利の山姥切展に行ってきました。

山姥切国広は個人蔵で、前回公衆の眼に晒されたのが約20年前という代物。
足利市関係が所有する布袋国広展示時にリクエストがたくさんあったようで、
商工会の勇み足もあったりしましたが、昨年10月に展示が無事決定。
所有者が別の国広作短刀も提供するという太っ腹で1か月の展示会が始まりました。

今回を逃したら次はいつになるか分からない、と考えられるだけに
他の展示会では楽々見られる平日ですら連日の大盛況。
週末なんてどうなるのやら…と休みが取れなくなった職場を呪いながら向かいました。
東武特急の車内で、今日の待機列は昨日の1.5倍と流れてきて焦りましたよ。

今回の展示は足利市が市長の旗振りを筆頭に、今までのコラボとは一線を画す
注力をしているのがポイント。会場である足利市立美術館は、
マンションのテナントとして入居(と言えばいいのか、あれは)しているため、
多くの審神者が並ぶのは生活環境的にも、足利市民への経済的恩恵の面でも
まずいという判断で、昨日からはコラボ展示では初めてと思われる整理券配布がスタート。
(これまでの刀剣展示では、5時間だろうがなんだろうが並ばせてきた)

なかなか微妙な時刻についてしまった私たちは、整理券をスルーして並んだのでした。
多分11時からの整理券で入るのとあまり変わらなかったと思われます、結果的には。

展示自体はこじんまりとしたものですが、税金で刷ったと思われる
オールカラー12pのパンフレット、揃いのスタッフジャンパーをまとった
他の展示会とは総人員の桁が違うと思われる人数(説明などの声掛けも過剰に親切)、
鉄屑を宮崎県綾から取り寄せるリスペクトと熱量は半端なかったです。

何より印象的だったのはライティング。
刀剣はライティングで見た感想が全然違ってくるんですが、
専門としてかなり頑張って調整している佐野美術館(と言っても、
館長と同じ身長150cmでないとベストとはならないみたいですけど)ですら
ここまで当ててないぞ、と言いたくなるぐらい強い光を角度を調整して当ててました。
単眼鏡などなくても、肌が見える展示なんて記憶にありません。

個人蔵の刀剣だと、逆に強い光を当てられるのを嫌がる持ち主もいるそうですが、
山姥切の今の主は、短刀国広を含めて自分のコレクションの美しさを理解しており、
それを誇示することに全く遠慮がないことが察せられます。
簡単に言ってしまえば、山姥切国広は綺麗だと思っているのです。

山姥切はとにかく綺麗、という言葉が出てきてしまうほど美しいものでした。
徳川美術館で見た本歌よりもインパクト強かったというか。
感想自由帳で、かなり多くのイラストが「綺麗とか、言うな」と言わせた上で
綺麗だったよ!と感想を添えているのも必然としか言えません。

審神者からすれば1か月の展示期間は短いですが、今の主にとってはそれなりに長いはず。
朝から晩まで毎日あのライトを当て続けることを許した今の主に感謝ですね。

ようやく美術館を出た後は、ここまで設定するか…と唸る数あったコラボ店舗を
探して街に出たのですが…噂に聞いていたランチ難民になってしまいました。
まず国広弁当の店に行ってみたのですが、早くも売り切れでパフェしか食べられず。

飲食店はともかく、服屋やカメラスタジオなど業種的に旅人たる審神者が
立ち寄るのは難しそうな店まで、なんとか食らいつこうと手を用意してきたのが
今回のコラボが他とは違うと一番感じさせたところだったりします。
街のあちこちに立っている山姥切ののぼり(三島はラリースポットしかなかったのに
足利はむしろ街中にたくさん)にも税金が投入されたと思われます。

ただ、足利の中心商店街が全力で体制を整えても(結果的に私たちも
ランチではない時間にランチを食べさせてもらったり…)山姥切の展示を待っていた
日本中、いや世界中の審神者の方が数が多く、オーバーキャパシティとなってました。

鑁阿寺、足利学校、太平記館あたりは10年ほど前のインカレで訪れてます。
あれから街の印象としてはあまり時が流れていないようにも感じました。

そして229段の石段を上るという苦行だった織姫神社と、長尾家の墓所がある
長林寺の二か所は、連れがいなかったら諦めていたと思います。
(スタンプラリーの賞品は3か所回ればもらえるので)

織姫神社の階段、トレーニングの人は…と注意書きが貼られているほど
ガチでヘビーでした。帰ってからお風呂で足を揉みまくりましたが、果たして。

最後に舟和の親戚とも言える舟定で芋ようかんを買って終わりました。
ここも審神者が来すぎて、出来立てをカットするので冷めるまで待って…という
お店苦渋の対応で買えたのでした。何もないところには誰もおらず、
何かあるところには審神者がいる、そんな感じの足利になってました。

とうらぶ初年度に、芝村氏が講演で(この人は一度騒動を起こしてから
表面には出てこなくなったけど、今はどれくらい絡んでるのかな?)
実装依頼がたくさん来てるけど、刀に街おこし賭けてます、という切実なのは
絶対に応じないと言ってました。これは間違いではなかった、というのが
今回の足利の切実な感想だったりします。足利は実装刀を自分たちの街へ
連れてきちゃったんですけどね。展示をやれば(加えてコラボをすれば)
審神者が来る、千代田区次第で今後はどうなるか分かりませんけど、
とりあえず今までの実績ではそういう流れになってます。

足利市が本当に一生懸命で、客人にとても親切にもてなしてくれるのは
嬉しい反面、ここまでやるのか…と思ってしまうのも否定できないのです。
(街中の忘れ物の面倒まで美術館が見るとか…)

お金や人を動かすのが難しくなった時代だらこそ、とうらぶコラボはどこへ行くのか。
まだまだ今後も注視しなければいけないと感じた足利遠征でした。


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