anxious for Heaven鳥かごなんて、最初からなかった。 |
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2013年04月05日(金) | 他界。 |
帰省中、祖父が他界した。 10日前、娘を連れて会いに行ったばかりだった。 その時は肺炎だったけど、自宅(ケアハウス)療養で済んでいたのに、その後呆気なく。 同居したことはなかったから、そんなにまで強い思い入れはないけど。 優しい、穏やかな、可愛らしい祖父だった。 号泣する従妹、涙ぐむ施主の伯母に対して、我が家は全員涙ひとつ見せない。 人前で泣かない家族、ここは相変わらず。 でも、まあ、思うことは様々あるわけで。 寝ずの番は、ほとんど私か弟でこなした。 何の感慨もない、みたいな顔をしつつも、ただじっと座って本を読みながら、時折線香をあげにいく弟は、やっぱり心根は優しい(もしくは義理堅い)んだろうと思った。 祖母とふたりきりで起きている時間があった。 私の発病(再発)のきっかけを作った祖母、あまり好きとは言えない祖母、許しがたい発言をした祖母。 でも、ふたりきりで話していて、…もう水に流そうかな、と思った。 私が優しいから、とかじゃない。 ただ、気の毒に思ったからだ。 先の短い老いた祖母を恨んでも、どうしようもないと思ったからだ。 今が割と落ち着いているからだ。 ただ、それだけ。 …悪い人ではないんだな、と、ふと思う。 言葉が場を選ばずキツいだけで。 ちょっと言われた方の心まで推し量れないだけで。 いつもキツい口調で喧嘩していた祖父に『もう少し優しくすれば良かった』。 勘当して行方知れずになった息子に対する述懐。 そういう言葉を漏らすのを聞いていると、この人もそう長くはないんだな、と思えた。 もうやめようかな。 どこかで恨むのを。憎むのを。 だって、それは今や何も生まないからさ。 …見返してやりたいと思った時期は過ぎたからさ。 私は今、おそらく幸せだと思う。 だったら、もう、『復讐』は終わったんだ、きっと。 誰かを傷つけない形での復讐は、もう成就したんだ。 そして、別に誰をも傷つけたいとも思わないし。 だから。 これで、私の黒い気持ちは終了。 葬儀の最中に唱えられる法華経の文言を、最後に口にしてから20年以上経っても覚えている私がいた。 幼い頃の私と弟は、日蓮宗の僧侶である父方の祖父について、一緒に読経をしていた。 忘れたと思っていても、頭のどこか片隅に刻まれているその文言は、習慣だったから…というより、きっと何かの『ほんとう』だったから。 その祖父も既に、数年前に世を去った。 ふたりの祖父が遺してくれたものは大きい。 武道。礼儀。経文の中の『ほんとう』。『怨恨を水に流す』こと。 ふたりが、迷いなく新しい世界へ進めますように。 |
一緒にいられると思ったのは たぶん、間違いじゃない。 |
written by:Kyo Sasaki ☆メール☆ |
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