anxious for Heaven

鳥かごなんて、最初からなかった。

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2007年11月08日(木)
この病気で、なんども入退院を繰り返して
それでいて、ここまで理想的な回復をした
あなたはとても稀な、類を見ないケースなんです
特に私たちの専門外来は、出来てまだ数年で
だから、あなたのような回復を辿った人が
後続のお手本になるような人がいることは
たくさんの患者さんの、そして治療者の
とても大きな励みになるんです
ありがとう、だから、ぜひこのまま
好ましい状態をキープしていきましょう


ということを言われてしまったわけだけども
退院した4年前からこれまでのことを
長い時間をかけて話し合っていると

いろいろあったなぁと思うわけで

ずっと調子が良かったの?という質問からはじまり
時系列順に出来事やストレッサーを話していると
とてもじゃないけど、平穏じゃなかった気がするし
実際、よく持ちこたえたという感じらしかった

じゃあ、なぜ回復への道を辿れたのか?というと
環境を、自らの強い意志で変えたということ
(仕方なくとか流れでとかでは意味がないらしい)
(私にとっては家庭からの半解放がそれにあたる)
過小な自己評価をやめたこと
(以前ほど自責の念に囚われなくなった)
同時に、過大な自己評価をやめたこと
(独力で対応しようという無茶をしなくなった)
(ひいては誰かの助力を求めるようになった)

そしてなにより

『本当に、旦那さんの存在は大きかったのね』

医師やカウンセラーと話せば話すほど
冬寿という人が、いかに『ありがたい』か思い知る

ただ、感謝の意味での『ありがたい』ではなくて
文字通りの『有り(在り)難い』存在なんだ、と

きちんと知っていてくれて
きちんと受けとめてくれて
きちんと支えていてくれて

『だけど、それは、彼の持つ資質も大きいけれど』
『あなたが打ち明けて、かつ努力できたから』
『ふたりの力で、今のこの現状がある』
『縁と契機を上手く見つけて手放さなかった結果』

本当に、感謝しなくちゃ、だ

そして

その結果を象徴するのが、産まれてくる娘になる

それは単に、回復した結果というだけではなくて
回復に至るまでの、紆余曲折や努力や信頼や
言うなれば、辿ってきた道筋の証であり

同時に、最後の契機そのものでもある


大事に、しなくちゃね


というか
そこまで理詰めで考えなくても
十分大事なんですよ、可愛いし!
むしろ
頭使って突き詰めるのはやめちゃいました
だって、そんなことしなくなったほうが
ずっとずっと人らしく生きていけるもの
今までの半分くらいしか、考えなくなって
今までの倍くらい、生きやすく楽しくなりました

…と伝えたら、笑われたけど、ね
笑いながら、『でも、それが大事なことだ』って


考える能力というものがあるばかりに
人は何でも頭で、理論で考えてしまうけれど
本来、そんなことばかりしなくても
きちんと生きていけるようには出来ている
本能や感情は、何のためのもの?
理性や理論は、何のためのもの?
前者はきっと、生きていくためのもので
後者は、それを支えるためのもので
なのに、後者にばっかり振り回されて
自分を生きにくくしちゃったら意味がない

だから
うまく使えばいい、本能も理性も
頭だけじゃ、生きてなんていけないから

たぶん、そう思えるようになったことが
私にとっての『回復』なのかなぁって


とりあえず今は
お腹の娘を大事にしましょう
冬寿の存在を大事にしましょう
さんにんで仲良く楽しく生きていきましょう
いつも笑えるように
泣いてもまた笑えるように
すれ違ってもまた手を繋げるように

だから、心だけじゃなく、実際そうできるように

ちゃんと、無事に産まれておいでね

一緒にいられると思ったのは
たぶん、間違いじゃない。
written by:Kyo Sasaki
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