anxious for Heaven鳥かごなんて、最初からなかった。 |
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2005年02月23日(水) | 徒然。 |
挙式も披露宴もしない予定の私達。 それは全て、私の側の我儘だったりするのだけれど。 婚約指輪も結婚指輪も要らない、という私に 彼が言った。 せめてそれくらいはしてあげたいから。 俺の気持ちも酌んでほしい。 してもらう、なんて、考えたこともない。 対外的には「買ってもらう」という表現もするけれど。 式を挙げたくないのは、全く以て私の事情だ。 両親を呼べない。 二人を同席させられない。 お互いがそれを良しとしないこともある。 母親は「それだけは、いいよ、と言ってあげられない、ごめんね」と。 だからといって、父親だけを省きたくはない。 それならばいっそのこと、式自体を挙げたくないと思った。 そしてそれを、彼の両親にも話した。 一応、了承はして頂いた。 仮に、私の母親が、父親と同席することを許したとしても。 私は嫌だ。 確実にフラッシュバックに見舞われるから。 自分の晴れの席で、暗い顔をしていたくはない。 泣きたくはない。取り乱したくはない。 だから、これは、本当に私の我儘でしかない。 彼の母親は矢張り、きちんと挙式することを望んだ。 無理もない、長男で一人息子だ、しかも本家の。 晴れ姿を見たいという気持ちと同時に、面子もあるのだろうし。 彼の父親は、そういう形式張ったことが嫌いで。 積極的に私達の結論を支持してくれた、ようだ。 それが鶴の一声で、方向性がそちらに定まった。 何故、式を挙げたくないのか。 先日、その理由を話したときに。 不覚にも泣いてしまった。 自分が情けなかった。 悔しかった。 不思議だった。 他人の前で泣くものか。 そう、覚悟していたにも関わらず。 結果的にはそれが好印象だったらしいが、複雑だ。 弱さを、露呈したくないのだろうか。 他人ではなくなる。 だけど矢張りどこかでは、他人という意識が残留していて。 会話の端々や。 態度や。 そういうものに、多少なりとの壁を感じる。 それを良いことに、自分もそれ以上は踏み込まない。 家族になるのだ、隔ての無い付き合いを。 それは綺麗事、絵空事でしかないような気すらする。 確固たる隔絶はあるんだもの。 20数年間、何も知らずに生きてきた、時間。 1400キロの距離と、生活の基盤たる土地柄。 完全に埋まる筈はないじゃないか。 ならば、親しみを持ちつつも、適度な距離のある付き合いを。 土地柄、の一言では到底片付けられないが。 彼も、言う。 南の人ほど、あっけらかんと曝け出した付き合いは出来ないよ、北の人間は。 私の家庭が妙なだけかもしれないと思った。 が、周囲を見回しても、似たようなものだったりする。 それが土地柄なのか、類が友を呼んでいるのかははっきりしない。 どうなんだろう。 来週末、指輪を見に行く。 恐らく即決だ。 もう、ほぼ決めてあるし。 代金はとりあえず、私も貯金から立て替える。 でも、きちんと返す。 言われるけれど、本来は交換するものではないの? 婚約指輪をあげられなかったから、そのくらいはさせて。 してあげたい。させて。 そんな表現ばかりだ。 仕方の無いことなのだろうけれど、釈然としない気持ちも、ある。 彼には彼なりの考えや、他人に対する面子もあるのだろうな。 そう思ったから、有り難く気持ちを頂戴することにした。 常の私なら、物凄い勢いで反駁しただろうに。 好きだ。嫌だ。 感情だけでは片付かないこともたくさんある。 くだらないとすら思える世間体にも意味はあるのかもしれない。 世間体なんて捨てろ。 そう押しつけた挙げ句、相手に嫌な気持ちをさせたら。 意味が無いじゃないか。 世間体なんてくだらない。 私が放擲することに拠って、彼の感情を蹂躙したくはない。 私も本当はどこかで、望んでいるのかもしれないし。 普通の、幸せな結婚を。 窮屈なドレスを着て。 退屈なスピーチを聴いて。 私の望みを叶えてもらったり、彼のそれを叶えてあげたり。 私と彼と、理想はイーブンでいたい。 から。 買いに行くぞ。 東京まで出るのは正直に言って、体が辛いけれど。 私、くだらない大人になっている、のかなぁ。 自分では少なくとも、そうは思わないけれど。 …まあ、いいや。 |
一緒にいられると思ったのは たぶん、間違いじゃない。 |
written by:Kyo Sasaki ☆メール☆ |
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