anxious for Heaven

鳥かごなんて、最初からなかった。

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2004年05月10日(月) 恩師と私と友人と。
今日は普通の日記で。

今夜は、高校時代の女友達2人と、担任の先生での食事会だった。
友人Hに迎えに来てもらい、待ち合わせの店へ行く。イタ飯屋。
すぐに、向こうから手を振るO先生が見えた。
程なくして友人Rも合流。店で食事。
4人でオードブル2皿、パスタ1皿、ピザ1皿。私とRはカクテル。Hはビール。
O先生は車だし、下戸なので飲めない。お冷だけ。
よくわからない乾杯をする。

食事を軽くつつきながら、主に同級生の話で盛り上がる。
高校時代の彼が、3月に結婚していたことを知った。
もう何年も連絡をしていない。彼の中で、私達(友人含む)は
「なかったこと」にされている、過去。
そんな彼の結婚生活を、ふと思った。
幸せ、なのかな。だったら、いいんだけど。
今更消息が知りたいだとか、そういうことは思っていない。
だけど、少し、懐かしかった。

高校時代、特別進学クラスだった私達。
でも、勉強が苦しかったというのは、記憶には全くない。
まあ…私達3人は、特に遊んでいた方だったけれど(そのくせ成績は良かった)。
「どうやったら、生徒に思い出を作ってやれるのかな」
「勉強だけしか記憶に残らない高校生活なんて、送らせたいとは思わない」
そう口にするO先生。私たちは口々に言った。
「先生みたいな先生がいるから、絶対大丈夫ですよ」
お世辞でも、なんでもなく。O先生は、そういう人だ。
魅力がある。人間的な魅力が。
だから、こうして、知り合って10年、卒業して8年以上が経過しても
先生を慕って、多くの卒業生が顔を出しに来る。私達だけでなく。

「佐々木(私のこと)は、最近何をしてるんだ?いつ退院したんだ?」
そう尋ねられ、笑いながらこう返す。
「8月末に退院して、それからは、花嫁修業をしてますよ」
「おお、ついに、嫁にもらってくれるような人を見つけたか。良かった」
「遠距離なんですけどね。秋くらいには、ひょっとしたら引越しです」
「じゃあ、病気の方は、大分良くなったんだな?」
「ええ、今では薬も飲まなくていいくらいですよ」

いろんな話をした。リストカットについての相談もされた。
先生の関わった卒業生の中では、私が一番の経験者…らしい。
構いすぎないこと、適度な無関心を装うことがいいのでは?
そうアドバイスをした。
何かに気付くまで、周囲が止めても、絶対に止まらない。
それが自傷行為だと、私は経験として思うから。

病気になって、それが治りつつあって
やっと、見えてきたものも、ある。
そういう話をした。
病気に感謝している、というわけではないけれど。
それが全くのゼロでもない。
「なってみないとわからない」ものはあるのだと思った。

昔から不安定だったけれど、こんなになるとはなぁ。
そして、こんなに持ち直すとはなぁ。そう言って笑われた。
そう、みんな、今は笑い話で済まされるレベルになっている。

同級生達は、順調に大学を卒業し、職に就き
ある人は家庭に入り、ある人は教師として働き。
みんなそれぞれの道を歩いている。
私は、現状、仕事もしていない。結婚だってしていない。
だけど、必要以上にそれを卑下することはないのではないか?
確かに大きな遠回りをしたけれど、私だって進んでいるのではないか?
そう、感じた。

「急に大人っぽくなったよね。お姉系になっちゃって」
Rに、そう言われた。確かに…外見はここ1年で変わった。
(体型は変わらないどころか成長中なのが憎いところではある)
だけど、一昨日、Yosshyに言われたこと…
「Kyoらしさは変わってないよ。変わらないでいて欲しい」
それもきちんと覚えている。

みんなの思う「Kyoらしさ」が、少しだけ見えた気がした。
漠然としたものでしかないけれど、何となく、少しだけ。

冬寿の話にもなった。
「チャットで知り合ったんですよー」
「出会い系じゃないんだな?」
「違 い ま す !」
でもそういう出会いもありなんだろうな、とみんなで笑った。
いい人そうで良かったな、佐々木について来れるんだから…らしい。
私のイメージは一体?

秋には、ひょっとしたら、地元を離れる。
「その前に、顔を出しに来いよ」
O先生が、そう言ってくれた。わかっています。必ず。
もし、万が一、彼と結婚するようなことになったとしたら
絶対に先生にも出席してもらいます、と笑った。

久しぶりに、こんなに笑った。

もう、絶対に戻ってこない時代ではある。
どんなに切望したって、あの頃に戻れることはない。
だけど、年月が移り変わっても、それに応じた関係というものがある。

O先生は、いつまで経っても、私の大切な恩師だ。
唯一、心から尊敬できる大人だ。憧れの大人だ。
Hは、いつまで経っても、小さくて明るくて可愛い。
バカな話も、真面目な話もできる、大事な友人だ。
Rは、いつまで経っても、マニアックでクセのある美人だ。
ぐんにゃりしたときには話を聞いてくれる、大事な友人だ。

10年前。私はどんな人間だった?
Decade。10年の一区切り。長い長い、でもあっという間だった時間。
思い返すと、切なくて、少し泣きたくなる、センチメンタルな時代。
多感で、でも毎日が楽しくて、でも時々ものすごく苦しくて。
笑うにも、悩むにも、エネルギーを100%消費していた。

今がそうではない、とは言わない。言えない。
今だっていつも100%だ。
だから、私達、変わっていないのかもしれない。本質は、あの頃と。

先生と、こんな風に、お酒を飲めるなんてね。
とてもとても嬉しかった。とてもとても貴重な2時間だった。

ねえ、冬寿?
あなたにも、こう思える時間が、あったのかな。
あなたも、辛い思い出をたくさん抱えた人。
だけど、そんなあなたにも、こんな風な時間があることを
私は祈ってる。願ってる。心の底から。
そして、これから先も、築いていきたい。
あなたが思い返して、幸せになれる、切なくなれる
そんな時間を、たくさん、たくさん。

解散後、Hとふたりでカラオケに行き、3時間歌ってきた。
ふたりで採点ゲームをし、高得点を出しあっては笑った。
(ちなみに私の「口笛(BY ミスチル)」が1位
Hの「メロス(BY FLOW)」が2位。勝った。ふふふ…でも僅差)

深夜1時半に帰宅し、こうやって、ほろ酔いのまま、日記を書いている。
だから、今日の文章は、きっと、ちょっと変。
だけど、コレも私。
悩むのも。笑うのも。傷つくのも。癒されるのも。みんな私。

また、半年だか1年だかが経過して
また、新しい環境で、新しい自分で、だけど変わらない自分で
旧友と恩師と卓を囲むことが出来たなら。
こんなに幸せなことはないのだろう。

ありがとう、O先生。ありがとう、H。ありがとう、R。
不安でいっぱいだった気持ちが、少し…ううん、かなり軽減されたよ。

これからもよろしくね。おやすみなさい。

一緒にいられると思ったのは
たぶん、間違いじゃない。
written by:Kyo Sasaki
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