anxious for Heaven

鳥かごなんて、最初からなかった。

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2004年05月08日(土) Kyoらしさ。
何年前のことか

ある海岸に出かけた
その日は雨が降っていて
砂浜を歩くことは出来なかった
車を停めて
長い間ずっとふたりで話をした

そして今日のこと

同じ海岸に出かけた
少し小雨がぱらついていた
並んで砂浜をしばらく歩いた
立ち止まって
少しの時間ふたりで話をした

同じ場所
同じ人

だけど今はこんなにも違う

不安を溢れさせてしまって
砂浜にしゃがみこんで泣いた
彼は何も言わなかった
黙って髪を撫でてくれた
ただそれだけだった

「付き合ってた頃の私と今の私
何か変わったと思う?」

立ち上がって尋ねると

「Kyoらしさは変わってないよ
変わって欲しくもないし」

そう言って笑われた

彼の言う「Kyoらしさ」というものが
何をさしているのか知らない
でも本質は変わらずにあること
それだけはなんとなくわかった

「綺麗にはなったけどね」

お世辞でもすごく嬉しかった

付き合っていた数年間
泣いちゃダメだと思っていた
泣くなよとよく言われた
病気も治せよとよく言われた

「それって結構辛かったんだよ」

帰りの車の中でポツリと口にした

「あの頃はKyoのこと
わかってやれなかった
今はそれがどれだけ辛いか
ちゃんとわかるよ
彼氏失格だったよな」

そんなことないよと首を振った
そんなことない
そんなことなかった

失格だとか合格だとか
そんなものは存在しない
お互いが好きだったっていう
事実があっただけだよ
後悔してない
後悔してない
付き合っていたことも
今ではそれが過去形であることも

今日の私は
ただ
人に会いたかった
ただ
人と話したかった
ただ
温もりが欲しかった
ただ
過去を振り返りたかった
ただ
不安を忘れたかった

ただ
君に聞いて欲しかった

こんなわがままに
きちんと付き合ってくれたこと
とてもとても感謝している
帰りに食べたソフトクリーム
一生忘れない

涙の味がした

なんてバカなことは言わない
甘かった
ものすごく甘かった
胃がもたれるほど甘かった
過去と同じくらい甘かった

車を降りる直前
もう一度だけ泣いた
やっぱりほとんど喋らずに
ただ髪を撫でてくれた

「伸びたね」

それだけを口にして

ねえ
私は幸せだった
そして今も幸せ

ずっと過去には友達の君がいた
1年半前には恋人の君がいた
今は親友の君がいてくれる

関係がどれだけ移り変わっても
14年間で築いてきた本質は
もうきっと変わることはない

彼女のこと
幸せにしてあげてね
私も
たくさん幸せになるから

いつか
幸福自慢をしよう

ありがと
Yosshy

ありがと

あなたの言う「Kyoらしさ」
なくさずに育てていくね
これからもずっと

君の知らない冬寿の隣で。

一緒にいられると思ったのは
たぶん、間違いじゃない。
written by:Kyo Sasaki
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