橋本裕の日記
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2007年02月23日(金) |
うらうらと照れる春日に |
今日は朝から雨だが、このところ好天で暖かい日和が続いていた。毎朝の木曽川の散歩が快かった。堤防の上で、柔軟体操や腕立て伏せ、腕振り運動をする。
運動のあと歩きはじめると、体が中に浮いて体重が20キロくらい減った感じである。血圧もかなり下がっているのではないか。堤防を歩きながら、万葉集の歌を高吟する。これも爽快である。
うらうらと照れる春日にひばり上がり 心かなしもひとりし思へば
春の野に霞たなびきうらかなし この夕影に鶯なくも
我が宿のいささ群竹吹く風の 音のかそけきこの夕べかも
いずれも大伴家持の歌である。万葉集の歌はただ字面を読んでいては駄目だ。声に出してうたってみると、そのよさがわかる。和語のうつくしさが実感される。千数百年も前の人の歌でありながら、こころにまっすぐ響いてくる。万葉集に限らず、古典はすべてそうだ。声に出して味わわなければ、そのよさはわからない。
高校生の頃、4畳半の部屋に祖母とふたりで暮らしていた。私は祖母を相手に学校で習った古典の文章を朗読し、学校の先生になったつもりで解説をしてやった。祖母は迷惑だったかも知れないが、まあ辛抱して聞いてくれた。ときには、「ああ、いいことかいてあるね」とおあいそを言ってくれた。これがうれしかった。
20年ほど前に、仏教大学の国文科に学士入学し、2年間がんばったのも、生徒たちに国語を教えて、万葉集をはじめ、日本の古文の美しさを知らせたいと思ったからだ。残念ながら、この志はとげられなかった。しかし、この夢は今もわたしの胸のなかにある。
(今日の一首)
うらうらと照れる春日を身に浴びて 歌を唄えば心たのしも
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