橋本裕の日記
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2005年09月07日(水) 改革幻想にだまされるな

 選挙戦もたけなわです。テレビの政見放送を見ていると、自民党の公認候補はみんな「改革を止めるな」と呪文のように唱えています。ところでこの「改革」とは何か。その中身をどれだけの国民が知っているのでしょう。

 その中身を知れば、おそらく国民はあきれるのではないでしょうか。「改革」によって何がどう変わるのか。「官から民へ」ということは実際どういうことなのか。まずは、朝日新聞8/22の「声」から引用します。

 −−− 目を覚まそう改革幻想から −−−
     古書店主  刑部 泰伸(47)

 小泉劇場は4年前に異例の拍手喝采で幕を開けた。一時期客足が引いたとはいえ、財界がパトロンで二大政党が協賛し、マスコミが毎日「改革幻想」切符をばらまいてくれるお陰で盛況である。劇場では観客が厳しい現実を忘れて勧善懲悪バトルに見入る。

 小泉改革仮面が「官から民へ」「小さな政府」と呪文を唱えると、悪人面の造反派は退散してしまうので、控えの主役・岡田改革仮面には出番はない。実は「民」といっても庶民ではなく民間大企業のことで、「小さな政府」というのは企業負担の小さな政府のことなのだが。

 一歩劇場を出れば、リストラ、営業不振による自殺、福祉切り捨て、政府税調による大増税計画、首相の靖国参拝による外交の行き詰まり、海外派兵のための憲法改悪など荒涼たる風景が広がっている。

−−−−−−引用おわり−−−−−−−−

  バブル経済を引き起こして、多くの不良債権をつくりだした主な責任は財務省(旧大蔵省)と当時の自民党政府にあります。つまり財務省(大蔵省)と特殊法人や銀行の失策で大量の不良債権が生まれたのです。

 ところが今、その責任が政府に命じられて大量の国債を買った郵便局に押しつけられています。郵便局が国民からお金を集めすぎて国債ばかり買っているから、国の経済が活性化しないのだというわけです。

 たしかに郵政公社は郵貯と簡保として、国民から330兆円のお金をあつめ、これで217兆円の有価証券(国債170兆円、地方債16兆円、社債26兆円、海外証券5兆円)を購入し、他に財務省に預託金118兆円を供給してきました。

 国債、地方債、預託金をあわせれば304兆円になります。財務省へ預けた118兆円も、実質的には国債です。郵政公社は一口で言えば、国家への巨大な貸付機関です。国民が国に投資するための窓口だとも考えられます。

 しかしこうした実態をもつ郵政公社を政府案のように民営化して、その巨大な資金を民間に回すということはつまり「国債」を売却するということです。小泉首相も竹中郵政担当大臣も「郵貯・簡保の資金を民間に回すのが、民営化の目的である」と明言していている以上、民営化の最大目的がこの国債の売却であることはあきらかです。

 どこに売るのかと言えば、「国際的な金融市場」ということでしょうが、実際に低金利の国債を大量に引き受けるのは日銀しかありません。国債を日銀にひきとってもらい、そのかわり現金をもらうわけです。

 もちろん一度にこれを行えば国債が暴落しますが、円相場の様子を見ながら、年に20兆円くらいの規模でおこなえばよいでしょう。これで円高が是正され、輸出企業には大いに追い風になります。

 問題はこの20兆円をどう運用するかですが、現在の郵政公社にはその能力はありませんし、民営化された郵貯銀行もそうです。やはり民間の銀行からヘッドハンティングをするか、外資にその運用をまかせることになると思います。

 こうしたことを実現すること、つまり「国債を売却し、そのお金でもっと金利の高い金融商品(たとえば米国債)を購入すること」ことこそが郵政民営化の本当のねらいであり、そのほかのことはじつが枝葉に過ぎないわけです。

 なお、これは国内経済政策としては竹中大臣も理解を示しているという「インフレ・ターゲット論」に実質的に近いのではないでしょうか。デフレを解消し、金利をあげるためには、とにかく巨大な国債を解消しなければなりません。最終的には日銀がこれを引き受けるしかないわけです。そのための道ならしが「郵政民営化」ではないでしょうか。

 もちろん、「インフレ・ターゲット論」には賛否両論があり、まともに政府が言い出せば大きな非難をうけることでしょう。しかし、郵政を民営化すれば、これと同じ効果が得られるわけです。

 ところが小泉首相はこうした話をほとんどしません。郵政民営化によって大量の公務員が削減できるという話ばかりです。国民にはこちらの方がわかりやすいからでしょう。それに民営化の本質をわからせてはいけないのです。こうした「めくらまし戦術」は小泉首相のもっとも得意とするところです。


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