橋本裕の日記
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2003年10月08日(水) フィンランドに学ぶ

 最近ヨーロッパで「フィンランドに学ぼう」という機運が高まっている。OECDが毎年発表している「競争力の世界ランク」は2001年にはアメリカを抜いて堂々第1位だし、2002年もアメリカに次いで第2位である。ちなみに日本は23位に低迷している。

 フィンランドは人口500万あまりの小国だが、ノキアなどの世界的企業を持つている。冬季オリンピックでは金メダルを7個もとるし、インターネットホスト数の割合ではアメリカ、アイスランドについで世界第3位だ。インターネットによる情報収支の面では、アメリカをも凌駕しているといわれている。つまり自分の国から外国にアクセスする量よりも、外国からアクセスされる量の方が圧倒的に多いわけだ。

 インターネットは巨大なデーターベースである。そして世界に通用する有用な情報はほとんどアメリカのサイトに集中している。小国のフィンランドにそれほど人を惹きつけるようなデーターベースが完備しているとは思えない。にもかかわらず、外国からのアクセスが多いのは、フィンランドにアクセスすると、そこから有益なリアクションが得られるためである。

 フィンランド人の多くはインターネットの標準語ともいうべき英語を自由に使い、個性的で示唆に富む意見を述べることが出来る。そうした内容のある対話や会話を求めて、外国から多くの人がフィンランドのサイトを訪れる。こうしたことから分かることは、インターネット時代に大切なのは一人一人の個人の人間的魅力だということだ。

 アメリカのような競争至上主義をとらない福祉型国家であるフィンランドがなぜこのように経済をはじめ様々な面で国際的な競争力を発揮しているのか。その秘密は教育にある。この点について報告している「ドイツ・ギムナジウム教師連盟機関誌、2002年11月号」からフィンランドの教育の特徴について引用しよう。

�� 学校あたりのの生徒数が少ない---- フィンランドでは40%の学校が生徒数50人以下である。生徒数500人以上の学校はわずか3%にすぎない。

��多様な職員構成---- 校長、教員、専門科目教員の他に、看護婦、学校心理学士(個々の生徒の心理的問題を適時に認知し、助言、援助を行う)、特殊教員(授業中の生徒を観察し、教員に助言したり、自分が別個に授業についていけない生徒やグループの面倒をみる)、学校アシスタント(生徒数が大きい学級にアシスタントを入れる)。

��十分な補充教員数----学校設立母体が十分な補充教員をもち、教員が病欠した場合にはすぐに代理授業が出来るため、授業の欠落が大幅に減少。

 こうした教育改革がこの10年間にわたりフィンランドで実施されてきた。その結果、経済協力開発機構(OECD)が世界32カ国の15歳の生徒の総合的な学力を測る学習到達度調査(PISA)でもフィンランドはトップに立っている。たとえば学力の中心に位置する「読解力」の順位を紹介しておこう。

(1)フィンランド  546点
(2)カナダ     534点
(3)ニュージーランド529点
(4)オーストラリア 528点
(5)アイルランド  527点
(6)韓国      525点
(7)イギリス    523点
(8)日本      522点
(9)スウェーデン  516点
(10)オーストリア  507点

 日本は中位より少し上の生徒が多かったため8位にランクされているが、他国に比べて記述式の問題に「無回答」が多かったという。たとえば「落書き」について書いた文章を読ませ、内容を問う問題では、無回答は29%で最多だった。「分からないものには手を出さない傾向。意欲のなさの表れともとれる」(文部省)ということらしい。

 フィンランドのような国民一人一人に行き届いた教育をするにはお金がかかる。そこで次ぎにOECDが発表した教育機関への公的支出対GDP比(1997年)をみてみよう。

(1)スウェーデン(6.8%) 
(2)ノルウエー(6.6%)
(3)デンマーク(6.5%)
(4)フィンランド(6.3%)
(5)ニュージーランド(6.1%)

 ちなみに日本は28国中の27位(3.6%)にランクされている。国家100年の計は人を育てることだという。教育への投資こそ国家が繁栄する要件だと思うが、この点で日本は決定的におくれをとっている。これもまた政治の貧困だというしかない。

 フィンランドに在住する日本人のHPをみると、フィンランドにもパソコンやインターネットに熱中するいわゆる「おたく族」はいるという。しかし、日本のような「ひきこもり」は少ないという。これを最後に引用しておこう。

<彼らが、日本でいうひきこもりに当てはまるのかはわからないが、それでも日本と比べれば、ここは「ひきこもり」が少ない国である。その理由はいろいろあるが、まず、18歳を過ぎて親と同居する若者がほとんどいないこと。経済的にも精神的にも自立するように早くから求められているので、若者は家を出て、一人暮らしを始める。親も親で、子供が出て行くのは当たり前と割り切っているので、18歳以上で親と同居するのは恥ずかしいこと、と考えられている。

 もちろん一人暮らしをはじめたら、ひきこもってばかりはいられなくなる。そしてこの国にはあまり競争がない。高校受験はないし、大学受験に関しても日本とシステムが違う。大学に入るのは厳しいが、大学間の優劣の差が全くなく、大学以外にも勉強できる場所はたくさんある。18歳を過ぎたら皆、進む方向はバラバラ。すぐ大学に入る人もいれば、しばらくいろいろな経験をして何年後かに大学に入る人もいる。就職も10代でする人もいるし、30歳を過ぎて初めて職につく人もいる。>

(参考サイト) http://web.hhs.se/personal/Suzuki/o-Japanese/Finland.html


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