橋本裕の日記
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| 2002年06月02日(日) |
「二次方程式と因数分解」(6) |
B「二次方程式は平方完成すれば解けるということですが、それはどんな二次方程式でも解けるのですか」
私「解を実数の範囲に限ると、解けないものがでてきます。たとえば、
x<2>−2x+2=0 ・・・・・・・・(1) x<2>−2x+1+1=0 (x−1)<2>=−1 ・・・・・・・(2)
このように、右辺がマイナスの数になります。実数は2乗してマイナスになることはありません。そこで、2乗したら−1になる数を考えて、これを虚数単位と呼ぶことにします。記号で i と書きます。
i(虚数単位)=√−1、 i<2>=(√−1)<2>=−1
そうすると、(2)は次のように計算ができます。
x−1=±√−1、 x=1±√−1 (答)
一般に z=a+bi の形をした数を複素数といいます。実数はb=0の場合ですね。複素数まで数を拡張すれば、二次方程式は完璧に解けます。
B「二次方程式を解くために複素数が考え出されたわけですね。でも、二乗してマイナスになる数なんて、本当に存在するのですか」
私「存在するかどうかと訊かれても、困りますね。前にも述べたように、数学者は複素数をイマジナリナンバー(想像上の数)と呼んでいます。まあ、この問題はむつかしくなりそうなので、このくらいにしましよう。さて、最後に、もうひとつ、大切なことを付け加えておきましょう。 いま、二次方程式 ax<2>+bx+c=0 の二つの解を α、β とすると、
ax<2>+bx+c=a(x−α)(x−β)
と、因数分解できます。たとえば、(1)の右辺は次のようになります。
x<2>−2x+2=(x−1−√−1)(x−1+√−1)
B「つまり複素数を考えると、二次方程式は必ず解を持ち、二次式はその解を使って因数分解ができるわけですね。因数分解ができれば二次方程式が解けるし、また二次方程式が解ければ因数分解ができるわけだ」
私「その通りです。そしてこのことは、三次方程式、四次方程式など、高次方程式にも同様に言えます。たとえば、
x<3>−6x<2>+11x−6=(x−1)(x−2)(x−3)
になります。一般にn次方程式はn個の解を持ち、n個の一次式の積に分解されます。どうですか、ここまで上り詰めると、数学の世界は整然としていて、なかなか美しい眺めでしょうでしょう」
G「たしかに美しい眺めだと思いますが、そのすばらしい眺望を手に入れるまでが大変ですね。ときには山崩れがおこったりして、一人ではとても登り切れない」
私「数学にはこうした山がたくさんあります。登っているうちに足腰がしっかりしてきて、山登りが楽しくなりますよ。まずは手近なところから登ってみることですね。<二次方程式と因数分解>はそうした手頃な山のひとつだと言えます。これをベースキャンプにして、さらに高い峰に挑戦して見て下さい。さらにすばらしい、驚くべき眺望が拓けてくるはずです」
G「ただ公式を暗記していてはいけないことがよくわかりました。解の公式にこだわっていては、こうした見事な眺望は得られないですからね。先生が言われた、プロセスを楽しむ心のゆとりが大切ですね。そうした心の姿勢から、ほんとうに独自な、豊かな、発展的なものが生まれてくるのだということがよくわかりました」
F「しかし、学校で行われている教育はちょっと様子が違っていますね。そこで、数学教育の問題点について、いささか質問したいのですが、よろしいでしょうか」
私「結構ですが、ここらで一息入れましょう。皆さんもお疲れでしょう。お茶でも頂いてから、<数学教育はいかにあるべきか>とでも題して、皆さんと一緒に考えてみたいと思います」
<今日の一句> 色づけば 小鳥も人も 琵琶に来る 裕
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