橋本裕の日記
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2000年12月20日(水) 心の常備薬

 人生、山あり谷ありで、なかなか思うようにいかない。エジソン流に言うならば「人生は1パーセントの喜びと、99パーセントの苦しみである」というのが、実態ではないだろうか。

 こんな悲惨な人生、早いとこおさらばしたいと思うが、人間はいざとなると1パーセントの方にしがみつく。「楢山節考」のおりん婆さんのように潔く生を断念することは、なかなかできない。

 それでも、去年あたりから、我が国の自殺者は3万人を超えている。交通事故死の2倍以上である。とくにこの数年、中高年の自殺が激増しているが、教員の自殺もあるのだろう。私も5年ほど前に私のクラスの副担任をしてくれたこともあるN先生の自死に出会っている。毎年家族の写真入りの年賀状をもらっていただけに、年の暮れになると彼のことを思い出す。

 さて、悩みがあるのが人生ならば、この悩みと上手に付き合って行くことを考えなければならない。一病息災という味のある言葉がある。無病息災は理想かも知れないが、むしろこれはあぶないのではないかと思う。誰かの有名な言葉に、「健康とは単に病気にならないことではなく、病気になっても快復できることである」とあった。問題は快復力であろう。

 病気を治すのは自分自身だが、的確な医療があれば、ずいぶん助けになるだろう。肉体の病気に常備薬が必要なように、心の病気にも常備薬があれば心強い。ところが、案外、多くの人は悩みの多い人生を送っている割に、このことに気付かない。そこで、私にとっての常備薬を今日は紹介しよう。

 それはカーネギーという人の書いた「道は開ける」という一冊の本である。そのなかに「レモンの効用」という一章がある。その中から、ほんの一部だけ引用してみよう。詳しいことは「人生World」の「道は開ける」をご覧になっていただきたい。

 私は自分の人生に行き詰まったとき、いつもこの本をひもとくことにしている。そうすると必ず、逆境にあって困難に立ち向かう勇気を与えられる。つまりこの本は、心を健康にする魔法の薬である。そしてこの本を読む度に、言葉の偉大な力に打たれる。

     ・・・・・・ 第17章 レモンの効用・・・・・・・

「人生で最も大切なことは利益を温存することではない。それなら馬鹿だって出来る。真に重要なことは損失から利益を生み出すことだ。このためには明晰な頭脳が必要になる。そして、ここが分別ある人と馬鹿との分かれ道になる」(ウイリアム・ポリン)

「窮乏に耐えるだけでなく、それを愛するのが超人である」(ニーチェ)

「我々の弱点そのものが、思いがけないほどわれわれを助けてくれる」(ウイリアム・ジェームス)

「人間が自己の責任を背負って立てば、環境が良かろうと悪かろうと中程度であろうと、気骨のある人間が育ち、幸福が必ずやってくる。だからこそ、北風がバイキングの生みの親となったのだ」(エマソン)

 運命がレモンをくれたら、それでレモネードを作る努力をしよう。



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