罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
貴方を殺さない全てのものが貴方を強くする
二十三歳、だそうだ。 この間の『誕生日』とか言う日に。 祝いたくも無い。 祝うべき人も無く。
年齢を上に見られてしまうようになったのは何時からだろう。 こうやって年を経る度、追い付いて行ってると錯覚する。 見られる年齢もしっかり年を喰っている。 最近三十路に見られる事が少なくなくなった…。
二十三年間。 何故死ななかったのか。 何故死ねなかったのかが不思議ではある。 致死量の毒を幾度と無く飲み下し。 幾度と無く首を吊り。 幾度と無く身体を虐め傷付けた。
それでもこの身体はまだぬくもりを持って此処に存在してる。
自分に出来る事を増やし。 自分に出来ない事を知り。 出来得る限り独りで生きられるように、 出来ない事のサポートは最小限に。 それが強さと言うなら強くはなったろう。
でも、独りで居られる事は強さじゃない。 誰でも独りなのだから、そんな事に価値は見出せない。
他人と共に在る事が、最大の苦痛を伴い得る、 至福を生み出し得る、方法なのだろう。
独りは、楽だ。 楽からは何も産まれない。 自堕落に興するのは飽くまで休養の為。
全く違うモノ。 互いに傷付け合いながら、慈しみながら、共に生きていくバランスの危うさ。 そういう危険と隣り合わせていなくては、幸福など感じていられまい。
今の僕は、あまりに平和なんだ。 こんな常温保存したコーラのように生温い状況では幸せの欠片も感じない。 誰か、僕を、僕の生活をズタズタにして離さないような人。 そんなのは望んでいても来ない。 そいつらは唐突にいつも現れるんだから。
もっと追い込んでみようか。 それともこの状況の中待ち続けるのか。 いずれにせよ、僕とぶつかり合える人間は、まだ見えない。
僕を殺す気で追い詰めて。
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