罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
今日は怖い日なんです。ええもう。
夕方、ウチの店長がにやにやしながらチャンネルを変える。 飛び込んできた文字は『突然息子が同性愛を父親に告白!』 …だらだら(脂汗)。
昨日の日記にも書いたけど、髪が短くなって右ピアス目立ってるんです。 …お客様の視線が…心地良い♪ ぢゃ無くて。
親って、一種の期待をしてるんだと思うのね。 息子が素直ならずとも一人立ちしていって、 たまに帰ってきては騒いでいって、 突然『会わせたい人がいるんだけど』とか言って、 可愛い女の子を連れてきてはにかんでいるのを見て笑い、 式の準備にやきもきして、 祝辞でついつい見せまいとした涙がこぼれ、 おめでたした奥さんに世話を焼き、 孫を抱き上げて『あたしもオバァちゃんになっちまったねぇ』とか思う、 まぁ大なり小なりそんな期待だわ。
そんな乙女の淡くて最後となる期待をあっさり裏切る訳だから、 その心境たるや推して知るべし、なんだろうね。 多分親父はもっとその辺の期待が強いだろうし、 未来のヴィジョンを勝手に構築する所もあるし…。
ああ恐ろしい。
下手に妄想が巨大化する前に叩いておいた方がいいのかもしれない。 実姉の結婚式はやたら盛大だったようだしね…。
しかし、『端で見ている分にはいいけど、身内に居たら抹殺する』 とか平気で言える人間ばっかりだから、親になんか相談しないのだけどね。 お腹の中にいる時点でゲイだって判ったら、 自分の愛する人の腹の中を冷たい鋼で掻き出すんですか? 子供の時点でゲイだって判ったら、 今まで愛していた自分の子供を人知れず埋めるなり沈めるなりするんですか? ゲイって判明するだけで愛情を180度憎しみに変換できるんですか?
秘密を独りで抱えるには重くて、それで一番頼りになる人に打ち明けて。 そして突き放されて目の敵にされたんじゃ子供の心は堪ったもんじゃない。 変な期待など押し付けないで。 僕らの人生は僕らのもので、僕ら自身が決めて歩いていく。 そんな期待に応えるほどの義務はないと思うし、ね。
…彼氏でも出来たら報告するかな。 一生出来ないかも知れないけどね。
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