罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
2001年01月06日(土) |
空虚、破滅、強さ。 ミーシャ |
『孤独が怖いって事に気づいたのは最近の話。 寒さに怯えるのも、静寂と静止に耐える事の出来ないのも。 自分を何の躊躇いも無く偽る事に異常な嫌悪を抱く事も』
幾つもの自分を演じ、嫌気がさし、演じていた自分が『自身』でなくなり。 それでも『自身』を押し殺し『僕』に生活を委ねなければならない日々。 『自身』を出せば、排除されてしまう事を憶えていたから。 社会から、学校から、家族から。 その時の孤独。風の寒さ。静寂。何も出来ない、静止した『自身』。 泣き喚き、自分を、・・・他人を傷付けた。それでまた哀しみが増えていった。 だから己を偽る事が必要だった。 他人と深く関わりあうのを避け、孤独は己の心に嘘をついて消した。 感情も消した。感覚も。必要なら演技すればよかった。 『僕』はそうやって、機械のように生きてきた。 しかし、それは間違いだったのだろう。 彼は、感情を思い出し始めた。演技しなくても良い人間達と会ってしまった。 それからの彼は・・・。
精神病というのは、社会生活に支障をきたさなければそうとは言えないらしい。 過去のように、僕が支配する精神状態なら、支障はきたすまいが、 今、彼は社会生活に支障をきたす一歩手前まできている。 しかし、そんな彼よりも機械のような僕こそが病んでいる気がするのだ。 彼の生き生きした表情が、何よりも羨ましいのだ。 僕のような精神状態も必要な事はわかっている、だが彼の枷になっているのも僕。 もう彼は、孤独に耐えられないのだから・・・。そんな時、いつもチャンスを 逃すきっかけは僕なのだ。 僕がいなくなれば・・・、そんな、ルミの願望じゃあるまいし。 しかし、抗いがたい。
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