罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
本当は昨年末に訪問するつもりだった。 『友達としてやっていこう、もう恋人は作りたくない』 とか、マトモな理由も無くほざいた元彼の所。
悪いが、んな事言われて次の日から友達として付き合うなんて器用な真似は 俺を含めて誰にも出来なかった。 行こうとするどころか、考えただけで自然にパニクる。 刃物を扱う仕事だってのに、それが勝手に自分の方を向く。 刃物をしまえば、爪で抉る。爪を切れば拳で殴る。 そんな生活は結構続いたけど、おさまってきてはいる。 最後に、ヤツと『友人』として付き合えるようにしておきたかった。 非が、俺達にある気がしたし。
吐き気と頭痛はしたが、意外と簡単に着いた。 ヤツは歓迎してくれたし、久々に他の友人、つーか同居人にも会えた。 ミーシャ達は出て来なかった。多分、出てこられなかった。 楽しかった気はする。
家に帰ったら、一気に疲れた。 記憶が飛んで、一気に夜になってた。 涙が出ていた。誰が泣いたんだ?誰の為に?
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