J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (26)
そんなの、哀しすぎるよ・・。。
私は頭をレイの髪に埋め、 レイの涙を頬で受けました。 その涙は思いのほか温かく優しかった。 それがまた切なくて私を哀しくさせました。
ぴったりと重なりあったレイの肌も、 優しく温かでした。 その肌を通してレイの命の鼓動が聞こえて、 私の鼓動とひとつのリズムが奏でられていました。 それがまた切なさを増長させました。
互いの心はひとつになっている。 結ばれたい想いでいっぱいになっている。 互いの魂はそれを望んでいる。 それがために互いの身体は“それ”を望んでいる。
なのに。 心も魂も、そして身体も望んでいるのに、 身体をひとつにしない。
愛しているからこそ、身体を結ぶ。 それが本来的であるはずなのに。 愛しているのに、結ばない、、。
愛してくれるなら、やめて、、 愛しているのに、やめる、、
そんなの、、。 切な過ぎるよ。 哀しすぎるよ。
これほど僕たちは望んでいるのに。。
肌重ねあったまま、私たちは動きを止められた。 太古の昔から悠久の時を刻んできた、 静かな時間だけが動いている。
私は突っ伏したままレイに聞く。
どうして・・?
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