J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (7)
恋人関係でもなく、婚姻関係にあるわけでもない、 ただの上司と部下がふたり。。
引き返せない場所にさらに一歩、、 私とレイは踏み入れたのでした。
その部屋はさほど広くはなかった。 広くもない部屋なのに、ひとつ大きなベットと、 ふたり掛けのラブソファ、 そしてテーブルが置かれてた。
その他には特別何もない部屋。 そこは男女が“する”ためだけの部屋。 “いかにも”そのための部屋、でした。
3年の想いを重ねるふたりにとって、 いささかムードが足りない部屋ではありました、が、 今更あとには戻れない。
ここにきた、のだから。 ここまできた、のだから。 ここにある“今”がふたりのすべて。
私は部屋を一瞥してレイを抱き寄せる。 瞳を見つめレイの唇を求める。 「レイちゃん、。」
レイは硬く緊張した身体を私に預けながら、 瞳を閉じて私の唇に唇を合わす。 「、、工藤さん、。」
ふたりの唇は一瞬重なって、、 これからという時にレイは急に唇を離し、、 そして言いました。
「、、工藤さん、やっぱり、、」
「やっぱり、、?」
「やっぱり、、ダメ、、」
、、!
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